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「多様性」や「関連性」の視点は、「自然を知る」から「自然を守る」ステップで「愛護」と「保護や保全」をわける考え方の基礎となります。例えば可愛いから守りたいという気持ちは自然保護の動機づけにはなりますが、相手の暮らしを知らない故に起きる前述のヒナの誘拐の問題となったり、可愛いと思える生物だけを守ろうとしたり、小鳥を食べるタカを悪者にするなど、実際に自然を守る行動で問題が生じます。個体や種を守ることが大切でないわけはありませんが、「自然と人との共存」のためにはより広く生態系や環境を保全するという視点が欠かせません。要は、相手を知ること、特に生態系概念、自然の「さまざま=多様性」や「つながり=関連性」を無視して、共存はありえないということです。

これらの視点は自然を広く捉えるためのものですから、当然人間や社会の見方にも通じます。ただ、「関連性については、小学生低学年以下の場合には、無理してわからせようとしても難しいと思います。

なお、この「多様性」と「関連性」を「野鳥に親しむ」「野鳥を知る」というステップで、わかりやすく示したのが『地球のなかま』(1989年,日本野鳥の会)1〜7ページです。12〜15ページでは「野鳥を通して自然を守る」というステップまで展開してあります。

 

(2) 共存と循環

前述の「多様性」と「関連性」という視点を言い換えて、環境問題の要因と対策をわかりやすいようにしたのが「共存」と「循環」という言葉で、地球のしくみを知るキーワードとして、「リーダー通信準備号(5号)』で紹介しました。

 

 

 

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