日本財団 図書館


2. 長崎港におけるコンテナ輸送体系上の課題

 

1.で検討した「長崎港におけるコンテナ輸送効率化に向けた方向性」にしたがって、具体的な航路展開を行っていくにあたり、短期的には、まず既存の中国航路の維持・拡充、あるいは航路開設可能性の高い韓国航路の開設に絞って取り組んでいく必要がある。一方、長期的には、アジア各地と結ぶ航路網の充実に取り組んでいくことが望まれる。

ここでは、荷主および船社の意向調査結果等に基づき、こうした長崎港におけるコンテナ輸送体系を実現に向けた課題を抽出する。

 

(1)ベースカーゴの確保

 

長崎港における航路体系の充実を図る際には、まずベースカーゴを確保することが課題となる。具体的な品目の絞り込みやベースカーゴとなりうる可能性等については、今後検討していく必要があるが、ここでは、現段階において想定されるベースカーゴ確保の方向性について整理する。

 

1]電気機器・一般機械

 

長崎市周辺や諫早市・大村市周辺には、有力電気機器メーカーが集積し、長崎県で生産される輸出コンテナ貨物においても、全輸出量:(13,532トン/月)の過半(7,320トン/月)を電気機器が占めている。また、全輸出量の1/4(3,688トン/月)は一般機械が占めている。

こうしたことから、電気機器および一般機械を長崎港のベースカーゴとして確保することが重要である。

 

2]国際分業の推進

 

ヒアリング調査では、ファクシミリの生産において、部品の輸出→半完成品の輸入→完成品の輸出という国際分業を中国・東南アジアとの間で実施している例が把握された。アパレル製品の生産においても、原材料の輸出(一部)→製品の輸入→国内への出荷という過程において、長崎港に航路があれば、輸入した製品の検品を長崎で行えるが、現状では航路がないために大阪等で行っているという例がある。

こうしたことから、長崎港周辺と海外との間での国際分業の展開と、国際航路網の充実を同時並行的に行い、相乗効果による好循環を創出していくことが期待される。

 

3]貿易業者の育成・集積促進

 

長崎県および長崎市は、九州の他県や他の県庁所在地と比較すると、人口規模は中位であるにもかかわらず、県内で消費されるコンテナ貨物量は最も少ない。その一つの要因として、輸入品を取り扱う貿易業者の集積が十分でないため、長崎県内向けの輸入品が福岡・鳥栖経由で流通するケースの多いことが指摘されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION