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第5章 九州における物流情報化に向けた提言

 

ここでは、これまでの検討を踏まえ、その結果を九州における物流情報化に向けた提言としてとりまとめ、本調査の結論とする。

 

1. 物流情報化の必要性

 

(1) 荷主の物流ニーズの高度化と物流構造の変革

 

生産、流通の各分野において、競争力強化のための戦略的分野として物流の持つ重要性がますます高まる中で、一層の在庫管理の高度化や、輸送の迅速性・正確性の向上など、荷主の物流に対するニーズは極めて高度で多様なものとなる一方、このようなニーズに対応する物流サービスを、より低コストで提供することが求められるようになっている。

こうしたことから物流構造の変革が強く求められており、その1つの方向が、生産拠点→広域流通センター→地区流通センター→小売店といった一連の物流を最も効率的なシステムに再構築すること、すなわち「物流のシステム化」である。

こうした企業活動の垂直方向の構造変化に対し、もう1つの方向として位置づけられるのが、各物流段階での水平方向の連携を強めることによって物流の効率化を図ろうとする「物流共同化」である。

 

(2) 物流の構造変化に伴う物流事業の変化

 

物流のシステム化に伴い、物流事業もトラック、倉庫という従来の業種分類ではその実態を捉えきれなくなっている。物流事業の業態は、その機能面から、物流の総合的なシステム化を担う総合物流事業者(サードパーティロジスティクスのように物流システムの提案まで含む荷主の物流業務を包括的に請け負う事業も含む)と、物流を構成する個々の要素(運送事業、倉庫事業等)に特化した事業者に二極分化する方向にある。また、地域的な広がりの面から、全国に広域的に事業展開する事業者と、特定の地域に限定して密度の高いサービスを提供する事業者に分類することができる(図5-1-1参照)。

さらに、物流共同化の形態も、これらの各分類にそれぞれ対応したものとなる。

1]総合・広域型物流事業

事業領域を全国に展開してトータルな物流サービスを担う事業であり、一般的には全国的な輸送網を持つ大手特別積合せ事業者が該当する場合が多い。

2]総合・地域限定型物流事業

事業領域を特定の地域に絞ってトータルな物流サービスを担う事業であり、典型例としては、九州を単位とした広域流通センター(主にメーカー)→地区流通センター(主に卸)の物流、地区流通センター→小売店という物流が想定される。

貨物の納品先が同一となることから、業界を単位とした荷主主導の共同化が進展しつつある。

 

 

 

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