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2. 中小トラック事業者における経営基盤の強化

 

(1) 情報化を活用した新たな物流のあり方

 

国内物流の主要な担い手であるトラック輸送の効率化は社会的要請となっており、エネルギー消費の削減、渋滞の緩和などの観点からもその必要性が高まっている。情報化はその有力な手段として期待されているが、取扱量の少ない中小事業者の場合、情報化を進めても、その費用に見合う効果が十分に期待できない場合がある。

一方、九州のトラック事業者は中小事業者が主体であることから、全国展開する大手事業者と比較して情報化が立ち遅れている。荷主の側からは情報化をはじめとした物流革新への取り組みが遅れている事業者との取引を縮小する動きもあることから、事業機会の縮小もしくは損失も懸念される。

こうしたことから、中小トラック事業者における情報化を企業の生き残り戦略のひとつとして捉え、荷主の情報化ニーズに的確に対応し、取引の安定化を図るという側面に重点を置き、その促進方策を検討していくことが重要と考えられる。

中小トラック事業者における情報化推進の具体的な方向としては、企業内における事務効率化や物流業務の効率化・高度化、経営改善などを目的とする業務全般を通じた情報化、荷主(顧客)とのEDI(電子データ交換)の実施による取引の安定化、情報化を活用した事業者間の物流共同化(1.参照)や新規事業の展開があげられる。

1]業務全般を通じた効率化・高度化

1)事務処理の効率化

コンピュータの導入により、伝票処理、給与計算、業務実績集計など、業務全般において効率的な事務処理が可能となる。その際の事務処理に関する人件費を中心としたコスト削減が情報化推進の直接的なメリットである。ただし、事業規模の小さな事業者ではこの人件費を中心としたコスト削減効果は見込みにくい面がある。

2)物流業務の効率化・高度化

次に、物流業務自体の効率化・高度化があげられる。例えば、情報システムを活用した配送計画の作成による輸送効率の向上や誤配送の減少などの効果が期待され、コンビニエンスストアへの配送に代表される小口貨物の域内輸送において、多頻度小口ットの配送を低コストで効率的に実現することに貢献すると考えられる。

3)デジタル化された情報の多用途への活用

事務処理における情報機器導入を通じて、事務や取引等に関するさまざまな情報がデジタル化される。それにより情報を総合的に加工・分析したりすることが容易になり、経営戦略の立案等に資するところが大きい。

この場合、特に有効と考えられるのがコスト管理への活用という面である。どの部分

 

 

 

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