日本財団 図書館


第4章 物流情報化の各基本方向における推進方策

 

ここでは、5つの基本方向毎に、まず情報化を活用した新たな物流のあり方を想定した上で、その実現に向けた課題を抽出する。次にこれに関連する最新動向および先進事例をもとに、九州において物流情報化を推進するための方策について検討する。

 

1. 情報の共有化による物流共同化の促進

 

(1) 情報化を活用した新たな物流のあり方

 

物流共同化には、特積みトラックの幹線の共同運行、KIT等の求貨・求車情報システムを活用したトラック事業者間での帰り荷の確保、同一業界の荷主企業間での共同配送などがあるが、複数の企業が共同で物流を行うにあたっては、情報の共有が不可欠である。

情報化の進展により、複数の企業が大量の情報を同時に共有することが可能となっていることから、こうした情報化の成果を活用して、各企業ごとに個別に行われてきた物流業務を最適なかたちで統合、共同化しようというのが基本的な方向である。

代表的な共同物流のパターンと求められる情報化の機能は、対象とするエリアの広がり・密度によって、以下の6パターンに類型化できる。

 

表4-1-1 複数企業による物流共同化のパターン

056-1.gif

 

1]幹線共同運行

大手を中心とした特積みトラック事業者が、予め取り決めを行い、取扱量の少ない一定曜日等に持ち回りで幹線輸送を共同運行するものである。

既に、取り組みが進展しており、また共同運行に関するルールさえ共有していれば、情報共有の必要性は低いため、情報化との関連は薄い。

2]地区内共同集配

都市内物流において、商業業務集積地域など特定の地区単位で、集配の共同化を行うことにより、集配車両の走行台数を削減し、交通の円滑化を図るもので、当該地区に近接して共同集配拠点を設置し、特別積合せ事業者を中心とする複数のトラック事業者の集荷・配送を共同化する。

共同集配拠点における仕分け作業の効率化や、集配車両の積載効率の向上、荷主に対するサービス水準の維持向上(荷主→参加事業者→共同集配事業者への情報連絡の迅速化等)といった点で、情報化による効果が期待される。

九州においては、福岡天神地区において共同集配が行われている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION