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(2) 物流情報化の基本方向

 

(1)をもとに、物流構造の変革との関係の中で、昨年度調査で設定した5つの物流情報化の基本方向を位置づける。

本調査では、中小トラック事業者における物流情報化を促進すること、物流情報化の効果を事務処理のみならず、実際の物流の効率化に活用することに重点を置いて検討することとする。

1]情報の共有化による物流共同化の促進

企業間、事業所間に情報ネットワークを構築することにより、全く同一の情報を複数の企業間、事業所間、地域間で同時に共有することが可能となる。共有化された情報を効果的に活用することにより、物流の共同化が促進される。

物流の共同化は物流事業の各業態毎にさまざまな形態が想定されるが、特に本調査では、2]に述べる中小トラック事業者の経営基盤の強化の観点から、輸送特化・広域型物流事業(長距離貸切トラック輸送)における貨物・車両の相互融通、輸送特化・地域限定型物流事業における積合せ輸送の推進、に焦点を当てて、情報の共有化による物流共同化の促進について検討することとする。

2]中小トラック事業者における経営基盤の強化

物流のシステム化への対応力の相違により、物流事業者間の競争力格差はますます拡大し、高付加価値型の総合物流事業と、専ら低コスト化が追求される輸送特化型物流事業への二極分化が進展しつつある。

大手物流事業者では、全国的な特別積合せ輸送網の形成と、配達時刻指定や貨物追跡管理など輸送商品の高付加価値化を進める過程で、自社の情報システムの構築が進んでおり、その情報システムを有力な経営資源として、荷主に対する物流システム化の提案を積極化している。

こうした状況にあって、特に厳しい競争環境に置かれている中小トラック事業者においても、むしろ積極的に情報化を進めることにより、経営戦略の立案、物流サービスの競争力向上、顧客との取引の継続・安定化などの効果を活用することが経営基盤の強化につながるものと考えられる。さらに、一定の事業規模を持つ中堅事業者であれば、地域限定型の総合物流事業に参入する機会も十分にあると考えられる。

こうしたことから、中小トラック事業者の生き残り戦略のひとつとして、むしろ積極的に荷主における物流システム化の担い手となることが期待され、物流情報化はその実現のために必要な一要素として位置づけられる。

3]企業間の規格不統一に伴う弊害の解消(標準化の推進)

昨年度調査で整理したように、情報化が相対的に進展している大手トラック事業者や

 

 

 

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