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第4章 九州内の離島における地域振興方策及び海上交通体系整備の方向性

 

本調査においては、前年度、九州内の離島についての現況と各自治体で実施されている地域振興策について調べたが、ここではそれらを踏まえ、離島における地域振興方策とその地域振興と深く関わり合いを持つ海上交通体系整備の方向性について整理した。

 

第1節 地域振興の方向性

 

(1) 離島における地域振興の特徴

 

離島は九州内外を問わず、本土と隔絶・孤立・環海性という非常に不利な条件を有しており、これらが産業、雇用、福祉といった島民の生活基盤整備を阻害する要因となり、また、人口流出、特に若年層の流出に拍車をかけている。

昨年度に実施した、九州内の離島を含む自治体アンケート調査結果においても、離島の問題点の上位は海上交通体系、人口流出・過疎化、産業・経済の低迷である。人口流出・過疎化は、離島の産業等の全般的な低迷とリンクしたものである。

離島の振興計画の内容として多くの自治体でプランニングされているのは、水産業の振興、観光の振興、海上交通体系整備であり、今後力を入れていかなければならない計画もまた同じである。

このように、離島地域の振興の方向性は他地域に比べ、ある程度優位性のある資源である

「水産物」や「観光」を中心としたものが主流であり、またこれらが当然、成果を期待できるものであると考えられる。

 

(2) 定住人口と交流人口の増加対策

 

地域の活性化では、まずその地域に定住する人口の拡大と他地域からの交流人口の活発化が重要である。まして、離島においては慢性的な人目減と高齢化が進むうえで若者の定住が一層期待される。

定住人口を拡大させるために欠かせないものは、雇用の創出にほかならない。離島の場合、公共事業に頼らざるを得ないところはあるが、観光振興とあわせてホテル等の宿泊施設での雇用創出やUターン者への助成事業、それに対する環境づくり等も含めて検討が必要である。

また、全国的な少子化傾向は否めないが、次世代を担う子供たちとよりよい環境で育てるための助成制度等を導入し、他地域からの流入(Iターン)を促進する施策を進めていくことも必要であろう。

なお、交流人口の増加策は具体的には観光振興策であるが、これについては後述する。

 

 

 

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