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5.2 認定事業場制度の運用と展開

 

船舶の建造時に実施される舶用品に対する検査は、製造認定物件や型式承認物件を対象としたものと、非製造認定物件や非型式承認物件を対象としたものとに大別できる。

非製造認定物件や非型式承認物件は、製品個々にその製品の設計時点から始まる多くの段階で国の検査を受け、技術基準に適合していることを確認しながら進めて行くことになるため、多くの時間と労力が必要になる。

一方、製造認定物件は、製造方法や自主検査制度の内容が国が定めた基準に適合しているかどうかの国の審査をあらかじめ受け認定された事業場で製造され、かつ、その方法が定められた方法通り適切に実施されたことを、その事業場の検査主任者が確認することで、国が行う検査が大幅に聞素化される。その結果、事業場の工程の流れの中で都合の良い時期、場所で検査を受けることができるため、工数低減に伴うあらゆる面での合理化が可能となる。

それ故、製品の生産体制がどのように変化しても、製品の品質を検証するための検査は必要不可欠なものであり、その方策としての認定制度は非常に合理的な制度と言えるが、この制度も時代の移り変わりと共に社会的要求事項が変化するので、内容は絶えず見直して行く必要がある。

 

5.3 舶用品製造事業場として採るべき品質管理の在り方(提言)

 

製品の安全性は永遠に求め続けねばならないテーマであり、目標レベルの向上を常に心掛けねばならない。従って、安全性にかかわる製品の品質管理の在り方も絶えず見直すことが必要である。

品質管理の考え方としての原点は、不適合品の発生防止と再発防止にある。

従来の「検査」が出来上がった製品に着目し選別を行うことに対して「品質管理」は製品が作り出される過程に着目し、不適合品の発生を未然に防止することを主体としている。

前述のように、生産体制が一貫型製造方式であろうと分散型製造方式であろうと品質管理の目標は同一のものであり、掲げるテーマもまた共通のものである。

しかしながら、その目的を達成するための手法においては社会的ニーズの変化や管理技術の向上につれて流動的に変化させて行く必要がある。

同時に、秩序あるものにするためには法の遵守が不可欠で、生産体制と法との調和を図りながら次の事項を考慮に入れた上で検討することが肝要である。

 

a)外注政策は企業にとって程度の差こそあれ必要不可欠なものである。

b) “製造”の言葉の定義を「物を直接的に作ること」という狭義の意味から、「自己の責任において物を作ること」という広義の意味に拡大する。

 

 

 

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