6.3 船内電話装置
船内の各部屋間、船橋と機関室や主要室間との連絡用として、あるいは中継装置を通して船外との連絡用として船内電話装置がある。船内電話装置の種類としては、無電池式電話機、共電式電話機及び自動式電話機の3種があり、船種、船型、あるいは用途に応じて使い分けられる。
6.3.1 無電池式電話機
無電池式電話機は電源を必要としないので、この名称で呼ばれる。送話機と受話機は同じもので、強力な磁石と振動板が付いた誘導線輪を備えており、音声エネルギを電気信号に、又は電気信号を音声に変換させている。送受話器はフックスイッチを通して2線式ケーブルで直列に接続されている。この装置には、通話回路のほかに呼出回路もあり、付属の強力な手回し発電機で約 70 Vの電圧を発生させ、相手側のベルを鳴らし、付属のランプを点滅させ、呼び出すことができる。
船橋と機関制御室の間に非常用として設置されることが最も多い。
6.3.2 共電式電話機
共電式電話機は、送話機、受話機とも共通の電源で作動するので、この名称で呼ばれ、通常、電源(24V蓄電池)は交換機側に設置される。通話相手はロータリスイッチで選択し、プッシュボタンで呼出ベルを鳴らし、通話を行う。呼出回線が多くなると、電話回線は複雑になるので、一般には6回線が多く、船橋と機関制御室など船内の主要な場所に設置されることが多い。
6.3.3 自動式電話機
自動式電話機は、現在最も多く使用されている電話で、自動交換機に接続して系統を構成し、ダイヤル方式によって呼び出し、通話するものである。自動交換機にはリレー式と電子式があるが、最近は電子交換機が多くなっている。