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これは、この半導体の中を流れる電子の移動速度が遅くなるためであって、こうなると陰極の付近に電子が固まって、陽極付近には電子が少なくなる。この電子の固まりはそのまま陽極の方に移動をして、陽極に達して大きな電流となるが、そうするとまた陰極近くに電子の固まりができる。こうして、ダイオードには振動電流が流れるが、電子の集団の移動速度はほぼ105m/sなので、GaAsの動作領域を10μmとすると、それを通る時間は0.0001μsとなり、10GHz周波数が発振されることになる。この発振周波数は、加えられる電圧や接続される空胴共振器の共振周波数によって、かなりの範囲を変化させることができる。

レーダー受信機の局部発振器に使用するときには図7・10に示すように、ガンダイオードを空胴共振器の一部に接続しておくと、発振周波数は共振器によってほぼ決定されるので、空胴共振器の調整によって、発振周波数を微調整することができる。

 

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図7・10 ガンダイオード発振器の空胴共振器への取り付け

 

代表的なガンダイオードにSGX-12B(SGX-2)があり、その動作特性は次のとおりである。

・周波数   9.3GHz〜9.5GHz

・出力    約40mW

・動作電圧  8〜11VDC

・〃 電流  0.4〜0.6ADC

 

7・4 ブラウン管

7・4・1 CRT

レーダーの指示器での表示は現在のところ大抵ブラウン管によっている。ブラウン管はまた陰極線管あるいはCathode Ray Tube の頭文字をとってCRTとも呼ばれている。このCRTの構造は図7・11(a) のとおりで、外側のガラス管は、先の方(右側)にいくに従って開いた構造となっている。管面は方形のものと丸型のものがあり、前者はTVなどで使用されているが、レーダーでは、ほとんど丸型のものが使われている。

 

 

 

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