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7・2 クライストロン

クライストロンは、航海用レーダーの受信機の局部発振器に使用されているが、最近はマイクロ波用半導体のガンダイオードに置き換えられつつある。クライストロンは速度変調管とも呼ばれ、直進形と反射形の二種類がある。直進形は主として増幅用に使用され、地上に設置させる大形のレーダーの送信用の増幅管に使用されている例が多いが、発振用にも使用可能である。船舶用レーダーの局部発振管に使用されているのは反射形である。

直進形クライストロンの構造を図7・5 に示す。

 

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図7・5 直進形クライストロンの構造

 

カソード(陰極)はヒーターで加熱されて熱電子を放出し、その放出された電子は加速電極に加えられている正の電圧で加速されて、コレクタ(集電極)に向かって直進する。コレクタとの間には、空胴共振器の一部を構成する格子(グリッド)が2組あり、カソードから見て手前のものをバンチャ、遠いほうのものをキャッチャという。バンチャに接続されている空胴にマイクロ波の共振信号が入力されていると、バンチャの両グリッドG1とG2にはその信号が加わっているので、電子がこのグリッドを通り抜けるときに、そのときの電界の極性によって加速されたり、減速されたりする。その状況を図7・6に示す。こうすると、加速された電子はある距離を行くと、前の減速された電子に追い付き、電子が一固まりになるところがある。

 

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図7・6 直進形クライストロン内の電子の動き

 

 

 

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