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このような両電極の間に一定で、かつ、均等な磁界を掛けると、放出された電子は磁界の作用で図7・1の(b)に示すように曲げられて陽極に向かう。

この曲がり方は、いわゆるフレミングの左手の法則に従い、人さし指を磁界の方向、中指を電流の方向(電子の動きとは逆)とすると、電子に働く力は親指の方向となる。そして、その曲がり方は加えられている磁界の強さが強いほど大きくなり、電界(陽極に掛かっている電圧)が高いほど小さくなる。

したがって、磁界を強くしていくと、図7・1の(c)に示すように電子が陽極に到達できなくなって陰極に戻るようになる。このように、陽極電圧と磁界とを適当に加え、かつ、陰極と陽極の間に共振回路を接ぐと、陽極に電流が流れたり、流れなくなったりして、マイクロ波の発振作用がおきる。しかし、このような方法は実用上は余り使用をされていない。

マグネトロンの第2の発振の方法は、磁界の掛け方は同じであるが、図7・2 に示すように陽極を円周方向に適当に分割をして、隣接電極間に共振回路を接続する形式とすることである。

 

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図7・2 マグネトロンの回路

 

実際のマグネトロンでは図7・3 に示すように、金属ブロックを梅鉢形にくりぬいた形の陽極が使用されている。

 

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図7・3 空胴マグネトロンの構造

 

図では陽極は8分割され、それぞれに両端は開いているけれども、同じ共振周波数をもった空胴共振器が付けられている。これらの空胴共振器は、実質的には、すべてが並列で発振をするのと同じ効果を持つようになる。

 

 

 

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