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(1) 電流増幅率

トランジスタの回路には図4・19に示すように、ベース接地、エミッタ接地、コレクタ接地の三つの接地方式がある。エミッタ、コレクタベースに流れる電流をそれぞれIE,IC,IBとすると、図4・17 から分かるように、これらの間には次の関係がある。

 

069-1.gif

図4・19 PNP形トランジスタの接地方式

 

IE=IB+IC

 

ベース接地回路で、IEのうちICとなって流れる電流の割合をベース接地の電流増幅率といい、αまたはhFBで表す。すなわち

 

α=hFB=IC /IE

 

の関係がある。

またエミッタ接地回路では、IC とIB の比をエミッタ接地の電流増幅率といい、βまたはhFEで表す。すなわち

 

β=hFE=IC /IB

 

の関係がある。

このとき上の三式からαとβの間には次の関係があることが分かる。

 

β=α/(1-α)

 

実用的には交流入力信号の変化に対する出力信号の変化の割合を電流増幅率というのが都合がよいので、交流の 270Hzあるいは 1,000Hzによる測定値も低周波定数の電流増幅率として規格表などに示されていることがある。この場合、直流の場合と区別するためにαはhfb、βはhfeで表す。一般のトランジスタではα=0.95〜0.99 β=40〜200程度である。

 

 

 

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