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2・2・8 温度試験

(1) 温度試験一般

(a) 目的

i) 電気機器の絶縁物は、一般に、温度が高くなると絶縁特性が劣化し、寿命が短かくなったり(10℃ごとに寿命が半減するといわれている)焼損したりする。

それ故、定格負荷状態で使われる絶縁物が、その絶縁種類に応じた温度上昇限度内にはいっているかどうかを調べる。

ii) 巻線だけでなく、軸受、整流子、スリップリング、鉄心、接触片、接続部なども、温度がある限度をこえるといろいろの障害を起こすので、その温度上昇を調べる。

iii) 温度上昇過程中における熱時定数を求めて、機器の熱的特性を調べることもある。

iv) 各試験のうちでは最も長時間定格負荷をかけて行うので、その間に各部の異常(例えば、整流状態、異常過熱部分、油・水漏れ、異常音、振動の増加など)、特に時間とともに変化してくる要素について十分調査する。

(b) 各種絶縁物の許容最高温度

絶縁物の種類に応じて許容される温度がJISC4003(電気機器絶縁の種類)及びJEC-147(電気機器絶縁の種類)に規定されている。表2・4はそれを示したものである。

 

表2・4 各種絶縁物の最高許容温度

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なお、この表に示す温度は、機器の中の最高温度の部分に許されるべき温度であって、実際に測定できる可測最高許容温度はこの表より低いのが普通である。

(c) 温度上昇限度

温度上昇限度とは、温度上昇と基準周囲温度との和が絶縁物の許容最高温度以下になるよう定められた温度上昇の限度をいう。つまり、各機器の温度上昇限度は、絶縁物の許容最高温度から基準周囲温度を減じた温度以下に定められているので、当該機器の設置場所の周囲温度が基準周囲温度を上回っている場合は、その超過する温度を規定の温度上昇限度から減じた値がその機器の温度上昇限度となる。

各電気機器の温度試験において、合否の判定基準になる温度上昇限度は、一般に、回転機に対しては表2・5・1及び表2・5・2に示す値以下と規定されている。ただし、船舶設備規程とNK規則とでは基準周囲温度が相違していることに注意すること。

 

 

 

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