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海上における人命の安全を確保するためには、船舶の構造が堪航性(海上において通常予想される危険に耐え、安全に航行することができる凌波性、復原性、操縦性等の性能を有している状態をいう。)を保持するに十分なものであること、万一非常の危険に遭遇した場合でも、人命の安全を保持することができるだけの諸設備が船舶に施設されていること及び船舶にとう載する危険物等の積付方法等航行上の危険防止について特別の考慮を払う必要がある。

このため、船舶安全法は、船舶所有者、船長、荷送人等に対し、次に掲げる事項を遵守させることによって、船舶の堪航性の保持と人命の安全の確保を目的としているのである。

(1) 船舶は、堪航性及び人命の安全を保持するために必要な構造及び設備を備え付けなければこれを航行の用に供してはならないこと(法第2条〜第4条)。

(2) それらの事項について、国(又は日本小型船舶検査機構)の検査を受けなければならないこと(法第5条、第6条、第7条ノ2)。

(3) 船舶による危険物等の運送及び航行上の危険防止に関する事項を遵守すること(法第28条)。

注:本章においては、説明文中とくにことわりなく、「法」と略してあるのは「船舶安全法(昭和8年法律第11号)」を、「施行規則」と略してあるのは「船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)」をいう。

 

3.2.2 概要

船舶安全法は以上の目的を達成するための船舶の構造、設備の技術基準及び船舶検査を受ける義務を定めているほか、次の事項について規定している。

(1) 検査及び検定の執行(法第6条ノ4、第7条、第7条ノ2)

船舶の検査(定期検査、中間検査、臨時検査、臨時航行検査、製造検査)は、主務大臣が特に定める場合を除き、船舶の所在地を管轄する管海官庁が行う。

 

検定(注1)は、当該船舶又は物件を製造する事業場の所在地を管轄(注2)する管海官庁(又は指定検定機関)が行う。

予備検査は、当該船舶又は物件の所在地を管轄する管海官庁が行う。

ただし、小型船舶(総トン数20トン未満のものをいう。)に係る船舶の検査(特別検査及び再検査並びに特定の小型船舶を除く。)及び予備検査に関する事務は小型船舶検査機構が行う。

 

 

 

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