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国際会議報告

 

国際試験水槽会議荷重応答技術委員会出席報告

 

正員 小寺山亘*

 

1998年9月20日から22日の予定で第22期ITTC荷重応答技術委員会がオランダ,ハーグ市の国際会議場で開かれた。今期の会合としては米国のワシントン,英国のニューキャッスルに引き続き3回目である。ワシントンでは21期ITTC総会で決められた本委員会の守備範囲の確認と各委員への仕事の分担,ニューキャッスルでは参考文献の持ち寄りと他の委員会,特にDeep Water Mooring CommitteeなどのSpecialist Committeeとの擦りあわせなどを主な目的としたが,今回は水槽試験技術に関するアンケート集計結果と原稿案の中間報告でもあった。時期と場所はPRADS98の開催に合わせて選んだものである。したがって会合初日は日曜日の午後2時から10時,2日目は午後6時から10時,最終日は午後5時から10時と強行日程を予定していた。

出席委員はMs.McCreight(DTMB,USA,委員長),Dr.Wichers(MARIN,Netherlands,Secretary),Prof.Hirayama(横浜国立大学,日本),Dr.Maron(Canal de Experiencias Hidrodinamics,Spain),Dr.Hermundstad(MARINTEC,Norway),Dr.Yum(現代重工業,韓国),Prof.Hearn(University of Newcastle,UK)と小寺山の8名であった。もう一人の委員であるDr.Magee(Bassin de Essais des Carenes,France)は転職のためメンバーから外れるとの連絡が会議直前に委員長のところに有った事が知らされた。仕事の分担も確定した後であり,一人抜けることは報告書作成に支障をきたすので,委員長のMs.McCreightに「フランスから誰か補充してもらったら」と進言したところ,日本ならそうだろうけど,個人主義の総本山フランスでは大変むつかしい」と諦め顔であったのが印象的であった。Dr.Mageeの分担していた「Development in the numerical prediction of forces on ships and offshore structure」は総会で与えられたテーマなので落とすわけにはいかず,全員で分担することにした。自主研究の「Active motion control with stabilizers」は取り止めとなった。

この調整の後すぐに議事に入り,今回の委員会の議事次第の承認,前回の委員会の議事録の承認,Advisory Committeeとの議事録交換,他の技術委員会との連絡すりあわせ,ISSCとの今後の協力方法などの一般議事について協議した。特に最後のISSCとの協力は重要であるにも関わらず円滑に進んでいないことが指摘され,その原因として会議の開催サイクルが違うので難しいなどの意見あり,将来の委員会で更に考える必要があるとの結論を得た。

これまでのITTC報告に現れた記号や技術的なRECOMMENDATIONについてまとめてITTC QUALITY MANUALを作ろうとするQUALITY SYSTEMS GROUPからの本委員会への協力要請について討議した。他国の委員は概ね了承しているようであったが日本委員である小寺山,平山はJTTCでの討論を通して意見を固めており,「過去のRECOMMENDATIONを寄せ集めても,それは単にRECOMMENDATION集とも言うべき物であって,決してQUALITY MANUALと呼べるものでは無い」と強調して慎重な対応を求めた。平山は文書で用意したいくつかの修正個所を具体的に示して,完成させるには時間が掛かる事を示した。その結果他国の委員もこれに賛同し委員会としては次期のITTCへの引き継ぎ事項とする事なども含めて検討する事とした。なお委員長がQuality Systems Groupの委員長宛に本委員会の議論結果を送る事とした。

現在提出されているRECOMMENDATION集を訂正することは確かに1年も有れば出来るかもしれないが,QUALITY MANUALの作成ともなれば時間が掛かる。私見ではあるが私はまずQUALITY MANUALを作るのであれば,このような目次になるであろうとの詳細な目次案を作って見るのが先決と考えている。

 

*九州大学応用力学研究所

 

 

 

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