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3.3 「デフラグレーション試験特性に関する研究」調査研究報告

 

株式会社 カヤテック

 

第一章 緒言

 

1-1. 調査研究の目的

 

国連勧告「Recommendations on the TRANSPORT OF DANGEROUS GOODS , Manual of Tests and Criteria」の中に規定されているClass 4.1 Self Reactive Substances(自己反応性物質:SRSと略する)、Class 5.2 Organic Peroxide(有機過酸化物:POと略する)の輸送区分について必要な試験の中からdeflagration test(爆燃:デフラグレーション試験)を例として種々検討を実施しましたのでその内容及び結果についてご報告いたします。

当初課題として、以下の提言がなされています。

1) 試料充填方法の定量化し、試験実施要領を確立する。

2) 試験の小型化をはかる

3) 別途スクリーニング方法を検討する。

これらを中心にして、デフラグレーション試験に関する問題点を抽出し,解決して上記提言に対する提案を行うことを本研究の目的とする。これを実現するために、「SRS」,「PO」とはどのような物質であるか、またデフラグレーション試験の概要について次に略述した。

 

1-2. 試験概要およびその周辺

 

SRS、POは、その化学構造の内部に比較的弱い化学結合を有する基(例えばアゾ基、ペルオキソ基)を有しており、熱・火炎・衝撃等の各種エネルギーを与えることにより容易に分解・着火・燃焼場合によっては爆発反応を生じる潜在的危険性の高い化学物質です。これらは日本国内では「消防法」の危険物第5類「自己反応性物質」に該当いたします。危険物第5類の化学物質は、「消防法」規制の量的な基準となる「指定数量」が他類の危険物と比べて最も少ない値で、その危険性を示しています。これ以上の威力を有する化学物質は、国内では「火薬類」と称せられ陸上では「火薬類取締法」により製造・輸送・取扱・貯蔵・消費に、海上では「危険物船舶運送及び貯蔵規則」により、輸送・貯蔵に規制がかかっております。(国連勧告では:「Class 1. EXPLOSIVES」に該当いたします。)

デフラグレーション試験は、火炎による着火・分解時の速さ(燃焼速度・分解速度)を測定することによって、その化学物質が発火・分解した際のデフラグレーション(燃焼)の激しさを調べることを目的としています。 国連勧告の試験方法では、デフラグレーション試験は、デュワー瓶と呼ばれる保温性(断熱状態を保持する性能)の良いガラス瓶(魔法瓶)に試料をいれ、試料上部に点火し、その火炎面が下方に移動する速度を測定することによって危険性を評価するものです。しかし、此の断熱性の良い瓶の内容積は、300ccと比較的大きく前述したような「火薬」に次ぐ威力を有する化学物質の試験としてはあまり好ましくはありません。

今回我々は、作業の安全面からも更に少ない試料量で国連勧告の試験と同等、若しくは同様の傾向を示す試験を実施できないかと考え、内容積を小さくしたデュワー瓶を作成し、現在の国連勧告による試験との整合性,国連勧告の試験を実施する上での化学物質の性状による問題点を明らかにしようと試みました。

 

 

 

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