4.5 燃焼容器の腐食について
酸化性液体は金属を腐食する性質を有するので、SUS304より耐食性の良いSUS316で燃焼容器を作製した。本試験を実施した結果、燃焼容器の腐食が認められず酸化性液体試験の燃焼容器の材質としてSUS316が使用できることが判明した。
4.6 圧力センサー近傍の温度について
圧力センサー近傍の温度は、70%過塩素酸水溶液がピーク温度115℃であり、他の試料ではそれよりも低い温度であった。圧力センサーの使用温度は、-196〜200℃なのでその温度範囲内で測定ができる事が確認された。
4.7 酸化性液体と可燃物の混合時間
酸化性液体方法の規定では、酸化性液体と可燃物を混合後、10分以内に添加すると定められている。よって混合時間は、規定されていないが10分以内で実施する必要がある。予備試験の結果、混合時間が、5分と10分で測定した結果についてt検定した結果、有意差がなかったので、混合時間は5分とした。
4.8 セルロースの水分の影響
Δtの長い30%硝酸カリウム水溶液を用いて乾燥品と未乾燥品のWhatman製CF11を使用した水分の影響を調査したところ、傾向としてΔtが長く出て測定値のバラツキの原因となることが示唆された。
乾燥品および未乾燥品との間のt検定の結果、有意差はないが、測定値に影響するので水分の管理に注意することが必要である。
4.9 攪拌方法の検討
攪拌棒1より攪拌棒2を用いて攪拌した方が測定値のバラツキが少なくなった。本調査では攪拌棒2を用いたが、攪拌方法が測定値に影響を与える事が判明した。
第5章 結言
5.1 まとめ
塩素酸リチウムのΔtはUN記載データと優位差が無かったが、それ以外は有意差があった。
1]CF11とW-200を用いた測定のΔtは、過塩素酸リチウムと45%硝酸ナトリウム水溶液(工業品)では有意差がなったが、その他の試料では有意差が有った。
2]セルロースと酸化性液体の混合時間は、5分で十分であった。
3]セルロースの水分が、0.5%と5%ではΔtに有意差が無かったが,5%では測定値のバラツキ大きくなった。
5.2 本年度の調査研究成果の概要
酸化性液体試験の測定システムを構築して、試験を実施して国連勧告に記載されていない詳細な試験に関する知見が得られ,本試験をの実施するに必要な測定ノウハウが得られた。
今後本試験を実施する研究者にとって必要な貴重な成果が得られた。
5.3 今後の検討課題
1) 今回の調査で得られたΔtと国連勧告参考値との差の原因究明。
2) 測定値に影響を及ぼすと予想される未検討の試験条件の検討。
3) セルロースの粒度が測定値に与える影響の検討。
本年度の調査研究は、目的どおりの成果を一応収めた。しかし、当初の予想より多くの問題点がある事がわかった。よって、次年度以降に更なる検討をする予定である。