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3.2 「酸化性液体試験方法の検討」調査研究報告

 

日本カーリット(株)

危険性評価試験所

 

第1章 緒言

 

国連勧告・試験マニュアルに酸化性液体試験が新試験法として採用された。酸化性液体試験は国連勧告・クラス5区分5.1の酸化性液体に該当するか否かを判定する試験法である。酸化性液体試験は破裂板を有する密閉容器内に酸化性液体と可燃物の混合物を入れニクロム線で加熱して燃焼させ、容器内圧力を測定し690〜2070kPaまでの時間間隔Δtを測定する。酸化性液体試験に関する具体的な試験要項の確立、さらに問題点を提起することが本調査の目的である。

 

第2章 調査研究の課題

 

2.1 検討課題

酸化性液体試験法の測定システムを構築し、実際の試験場の問題点に検討する。

1) 燃焼容器の材質、点火具の構造、圧力センサー近傍の温度について検討する。

2) セルロースの種類が測定結果に及ぼす影響について検討する。

3) 国連勧告に記載されている各種物質の測定を行い、データの蓄積を図る。

 

2.2 予備試験

本試験を実施するに当たり、下記の条件につき検討した結果を本試験の試験法に採用した。

a) 可燃物の検討

酸化性液体試験に用いる可燃物はセルロースと規定されている。表1に示すように日本製紙(株)が主たるメーカーとして挙げられ、容易にかつ品種も多彩に揃っていた。今回の調査ではW-200を用いた。その理由として、別試験である酸化性固体試験(セルロースと酸化性固体の混合物を燃焼させ、その燃焼時間を測定する)において円錐状の成形型に装填する品種として適当であった(他品種では適当でなかった)。よって、本試験においても採用した。もうひとつはヨーロッパで使用しているWhatman製CF11を用いた。比較のため、消防法の燃焼試験に用いられている木粉(日本カーリット(株)製)も用いた。

b) 点火具の固定法

銅棒に切込みを入れそこにニクロム線を挟む方法(差し込み法:写真1)とニクロム線をビスで銅棒に固定する方法(ビス止め法:写真2)を検討した結果、差し込み法でニクロム線が外れるトラブルが発生して安定したデータが得られないことがある。ビス止め法の方が優れた方法であることが判明したので、本試験では、ビス止め法を採用した。

c) 混合時間の検討

30%硝酸カリウム水溶液とWhatman製CF11のセルロースを用いて混合時間5分、10分、20分として混合時間の影響を検討した。5分に比べて10分の方がΔtがやや長くなっているものの、20分では逆に短くなっている。5分と10分での結果に大きく差がみられず、本試験では混合時間を5分とした。

d) セルロースの乾燥条件の検討

セルロースの乾燥条件を検討した結果、酸化性液体試験法に規定された水分0.5%未満にするには105℃、24時間以上の乾燥が必要であった。本試験ではセルロースを105℃にて24時間乾燥する事とし、密栓可能な容器に入れ、デシケーター中で保管した。

 

 

 

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