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4.3 臭素酸カリウムに関する考察

 

(1) 各社特級試薬から篩分けで取り出した臭素酸カリウムを使用した。その粒度分布は大きいサイズに片寄っており、各社共に近似した傾向を持っている。試験結果の僅かな差はメーカー差と言うよりは、粒度分布による差と判断され、(2)の調査へ進んだ。

(2) サイズ別の試験結果ではサイズと燃焼時間との相関が得られ、サイズの小さい物ほど燃焼時間が短かった。

繰り返し精度を上げるには、結果有意である0.15mm以下を棄却する方法も手段の一つとして考えられるが、どこまで試験条件を狭めるかは個々の試験室の判断である。

今回の調査結果から判断して、試験に際し同一メーカー、同一ロットの試薬の使用が必要条件であるとの記述に留める。

 

4.4 国連勧告例示物質に対する燃焼試験関係

 

(1) 試験手順の検討に時間を要し、この課題の検討は保留となった。着火ワイヤーが断線してしまうもの、指定乾燥温度で溶けてしまう物質等、基本的調査が今後必要である

(2) 基準物質として日本で取扱い易い物を検討し採用することも必要と考えられる。

 

4.5 その他

 

(1) 全ての試験結果が国連参考値より長い燃焼時間値で測定された。データから見て明らかに片寄りであり、疑問が残る。新試験方法の時間カウントはスイッチオンからであり、従来の試験方法による燃焼開始からの計測とは異なる。試験実施に当たって国連参考値の求め方との間に何らかの差異があったのか、基本的検討が必要と考えられる

但し、容器等級の決定基準は基準物質と試験品との各々の試験室での測定値の比較であり、試験結果が一定の片寄りであるかぎり判定に対する影響は出ない。

 

第5章 結言

 

5.1 本年度の調査研究成果概要

 

実際に試験に使用出来る装置を完成させ、これから試験を実施する研究者の参考に供した。

又、手順の詳細についても、セルロースの選択・臭素酸カリウムの特性・水分値の管理等、問題点を抽出し、試験実施に当っての解説的参考事項を多く残せた。更に、カンタル線等各種器具、道具選択の指針も示せたので、試験実施及び結果の評価にあたり、危険物輸送関係者にとって充分に役立ち、参考になると考える。

 

 

 

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