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(2) 国連は物質の輸送状態での試験を想定し、例示物質の測定参考値を提示しているが、物質の特定値を得るためには物質の乾燥用件が必要である。しかし、基準物質乾燥温度である65℃で溶けてしまう例示物質があり、判断に迷う。今後の検討課題としたい。

(3) 着火しない混合物があった。測定不能表示は炎が出なかったものであり、明らかな燃焼は観察されなかった。上記(2)と同じ理由でノミネート不向きと考えられるが、工夫して燃焼するものであれば検討を行いたい。

 

第4章 考察

 

4.1 燃焼試験装置関係

 

前記、経過と報告より

(1) 吸気はなるべく4方向より取り入れる。

(2) 試験時湿度のコントロールは日本のような高湿度の国では必要。

(3) 着火ワイヤーは耐熱性のあるカンタル線の使用を推奨する。

(4) 加熱エネルギーの日常チェックは、メーター値ではなく放射温度計による発熱温度でコントロールすることを推奨する。

(5) 排気・排水処理方法は、環境・法規制・他の装置への影響を充分に考慮してシステム化する。

当該試験器及び器具道具類は国連勧告規定を満足し、実試験にあたっても充分にその機能を発揮した。

 

4.2 ファイバーセルロースに関する考察

 

前記、経過と報告より

(1) ワットマンCF-11セルロースファイバーは国連規格を満足しないと言う問題点は残るが、顕微鏡写真の比較では繊維がしっかりしている。かさ密度がすこし小さい感じもするが、他の試験結果等から判断して、現状では国際整合性がありデータの蓄積あるワットマンCF-11の使用が良いと判断する。

(2) 水分値の0.5%規制については、日本の湿度条件でも今回調査研究で設定した手順を踏襲すれば試験は可能である(大気暴露20分以内)。但し、委員から操作手順を緩和するため試験許容水分値の上限を見極めてほしいとの要望が出され、今後の検討事項となった。

(3) セルロース含水量と燃焼時間との関係は、全ての測定値が国連参考値より長いと言う片寄りとして判断された。この片寄りの中で精密に比較するには、試験の繰り返し精度が悪く、断定出来るような相関データは得られなかった。

試験時許容水分値を定められない状態で試験を実施するためには、試験時規定水分値0.5%以下の順守が必要であろう。

 

 

 

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