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1. 調査研究の目的

 

船舶により運送される物質の危険性評価について、危険物船舶運送及び貯蔵規則(以下「危規則」)は、運送前に荷送人が危規則により定められた試験方法及び判定基準により分類(危険性の種類)及び容器等級(危険性の大小)等を決定することを要求している。

危規則に定める試験方法及び判定基準は最新の国際海上危険物規程(以下「IMDGコード」)に規定されたものを基準としている。但し、IMDGコードの試験基準は、試験実施のための詳細な手順については及んでいない。

IMDGコードに規定される基準は、最新の国連危険物輸送専門家委員会勧告(以下「国連勧告」)に規定されているものを引用しているが、国連勧告に示されている試験方法のうちには、1950 年代に同勧告が策定された時期に各国が自国で採用していたものを持ち寄ってそのまま採用されたものが多い。従って、最近の技術革新と環境規制等の強化に伴い、現存の国連勧告の試験方法に代わる安全性、効率性及び精度がより高い代替試験方法の作成の必要性が近年高まっている。また、国連勧告は頻繁に改正され、それに伴う新規の危険分類に対応する新試験方法と判定基準も随時採用されている。

一方、IMOにおいては、2001 年を目処にIMDGコードの強制化が予定されており物質の危険性評価は一層重要な課題となる。

このような状況下、社団法人日本海事検定協会理化学研究所では、運送する物質の危険性を評価するための試験を実際に行う荷送人のために、詳細な試験手順を「物質の危険性評価のための試験方法及び判定基準の解説(以下「基準解説」)に取りまとめ平成3年に作成し公表した。更に、独自に試験を実施できない荷送人の依頼を受けて代わりに試験を実施し危険性の評価を行っているところである。

このような状況を踏まえ、国連勧告または基準解説に示す試験方法又は試験手順のうち代替試験方法等の必要性の高いものについて、その主旨に沿った試験方法等の開発、並びに最近国連勧告に採用された新試験方法に関してはそれらの試験手順に関する詳細な調査研究を行うことにより、海上貨物の危険性をより確実に評価できるようにし、以って危険物の安全運送に資することを目的とする。

なお、本調査研究で取り上げたテーマについてはIMDGコード強制化の 2001 年を目標に平成12年度までの3年間に完成し公表する。

 

 

 

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