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4. 結び

 

戦後、台湾の産業構造は第一次産業から、第二次、第三次産業に転換した。この過程において、人口の移動、特に農村過剰人口の都市への移動が促進されて、都市化が急速に進行し、大都市が形成された。

台湾の人口は、最近人口転換の完成に伴って、高齢化が進み、1993年65歳以上人口の比率が7%に達して、高齢社会に加入した。しかし、都市人口の年齢構成は、青壮年人口を吸収することによって、高齢化が遅れていた。最近、都市出生率の急速な低下、早期移入人口の高齢化、並びに高密度都市地域の青壮年人口の郊外への移住等によって、都市人口の高齢化が加速されている。

台湾最大の都市である台北市は、過去政治、経済等の中心として発展して来た。特に、戦後の人口増加が著しく、附近の地域を合併して成長し、その影響力は台北盆地全体に及んだ。台北市自身の人口は1990年の272万を頂点に、少し減少を始めているが、台北盆地その他の部分はまだ発展中で、人口も急速に増加していて、1995年に300万を越え、台北市と合併して575万人の大都市全区を形成した。

台北市は開発が早く、又戦後大陸から撤退した大量の官吏、軍隊等の移入人口が高齢化することによって、65歳以上の人口数が増え、又青壮年人口の郊外への移住等で、最近高齢化が速く、台湾全体の高齢化水準を上廻った。台北盆地の密度も1km2二万人に達し、将来青壮年人口を吸収する余地が少なくなって、台北市隣接地帯から高齢化が急速に進められている。

将来、台北市の高齢化は台湾の水準を超過して、高度の高齢化社会になる可能性が大きい。台北盆地その他の部分も、台北市の後を追って急速に高齢化するものと思われる。この急速な高齢化に対応する措置を早く講じなければ、将来台北市高齢者の生活はもっと苦しくなるものと思われる。

 

 

 

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