日本財団 図書館



図 3 運動能力(男)                      図 4 運動能力(女)



2)運動能力は偏りが大きい
 本調査で測定された閉眼片足立ち、腕立伏臥,反復横とび、急歩などの年齢別平均値を示すと図3、4のごとくである。上記4項目 のうち、記録が極めて劣るものは閉眼片足立ちと反復横とびで、急歩は男で劣り、女で標準と同じレベルであった。しかし、腕立 伏臥は極めて優れており、演者らが別に測定した握力、背筋力などの成績が優れることとも一致していた。
 なお、加齢低下率が大きいものの順序は、閉眼片足立ち>反復横とび>腕立伏臥>急歩であって、この順位は、標準値の場合の閉 眼片足立ち>腕立伏臥>反復横とび>急歩という順位と多少異なっている。
 このように、筋持久力の指標とされる腕立伏臥の成績の良いことと、加齢減少の少ないことは特筆されるべきことであって、 これを演者は、青壮年期において重筋的労働によって高められた筋力が、近年機械化されたとはいえ、ある程度の大筋肉群活動 を主体とする農作業に従事することによる労働適応によるものと考えている。
 また、平衡機能の劣りには農業労働者に多い高血圧など心循環系の異常が、敏捷性の劣りには、農業が自然気候や天候の制約 条件下での自律的労働であったことが、大いに関与しているのであろう。
何れにしても、これらの諸機能は加齢減少の大きいことにも注目しておく必要があろう。


前ページ    目次へ    次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION