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 2.調査項目
 (1)生活体力
 生活体力は起居、歩行、手腕、身辺の各動作からなる一連の課題を出来るだけ速く行い、その所用時間として測定した。なお、ここ での「手腕動作」とは家事動作、食事動作、書字動作などの手と腕を同時に用いた生活動作の総称として用いた。測定にあたって は、1回の練習を実施した後、2回の測定を実施し、成績の良好な方を採用した。なお、生活体力は年齢との間に有意な相関関係が認 められることから、解析においては年齢の影響を調整した生活体力指数を用いた。生活体力指数は、まず男女別に生活体力の測定 値を目的変数、年齢を説明変数とした単回帰式からそれぞれの年齢別の標準値を求めた。次に、対象者の年齢における標準値から 実測値を引き、その差を回帰偏差で除することにより算出した。したがって、生活体力指数とは本研究の解析対象集団の各年齢に おける標準値との相対的な水準を表す評価値であり、その値が0の場合は該当する年齢集団の標準的な生活体力を意味し、-の場 合は標準よりも低く、+の場合は高い生活体力であることをそれぞれ意味する。

 (2)医学的健康診査
 ?問診:既往歴の有無(脳卒中、心臓病、高血圧、糖尿病)、1年以内の入院の有無、身体の痛みの有無、臥床経験の有無について、 それぞれ会場にて面接法により行った。なお、臥床の経験有りとは、過去1年以内に病気や怪我のために1週間以上にわたり床 に臥したことのある者とした。
 ?形態・生理機能検査:BodyMassIndex(BMI)、血圧(収縮期血圧,拡張期血圧)、心電図所見、胸部X線検査(胸部径、動脈幅、心横 径、石灰化)、前腕部骨密度(DXA法)をそれぞれ測定した。なお、骨密度については正常範囲、やや低下、かなり低下の3段階評価値 とした。
 ?血液・尿検査:血液は随時静脈血を、尿は来場時に随時尿としてそれぞれ採取し、分析はいずれもSpecial Reference Laboratory (SRL)にて行った。分析項目は血糖、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、GOT、GPT、γ−GTP、クレアチニン、アルブミン、 尿酸、β2−マイクログロブリン、白血球数、赤血球数、ヘマトクリット、HbAlc、HbAlT、HbF、HbAlc安定型、尿中アルブミン、尿中A/C比 である。

 3.統計解析
 医学的健康指標の各成績と生活体力との関係については、生活体力を目的変数、各医学的健康指標を説明変数として男女別 に解析した。医学的健康指標のうち連続変数の項目についてはPearsonの積率相関係数、各種所見についてはSpearmanの順位 相関係数、また既往歴の有無などの2カテゴリー回答項目についてはunpaired t-testによりそれぞれ分析した。統計解析には統 計パッケージSPSS-Mac版を用いた。解析結果については、危険率5%未満を有意差ありとした。



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