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 研究方法
 1.被検者
 本研究の被検者は、埼玉県大宮市立M中学校サッカー部の男子生徒のうちゴールキーパーを除く33名であった。これらの被検 者の中から、顧問教師の判断により技能水準が高い者(上位群)および低い者(下位群)を選出した。上位群は1年生6名、2年生7名の 計13名であり、下位群は1年生4名、2年生2名の計6名であった。被検者全員が小学生(8.6±1.5歳)でサッカーを始めていたが、上位 群は8.5±1.1歳、下位群は10.3±2.0歳で、上位群の方が開始年齢は有意に低かった(P<0.05)。練習の頻度は週6日で、1回の練習は およそ2時間であった。M中学校は、本研究の測定期間中に行われた大宮市と与野市の中学校を集めた大会(大宮カップ:出場校27 校)における優勝校であった。各被検者および保護者に対して研究の目的等を説明し、本研究への参加の同意を得た。

 2.測定
 (1)形態測定および体力測定
 形態に関する測定項目は身長、体重、大腿囲(最大位)、下腿囲(最大位)および皮下脂肪厚(上腕背部および肩甲骨下部)であった。 体力に関しては、握力、背筋力、脚伸展力、全身反応時間、無酸素性能力および有酸素性能力を測定した。大腿囲、下腿囲、握力および脚 伸展力については、左右の平均値を結果として用いた。皮下脂肪厚は上腕背部と肩甲骨下部の値を合計して用いた。
 握力および背筋力は体力診断テストの実施方法に準じて行った。脚伸展力は,膝角度を100度として椅座位による等尺性最大筋 力を測定した。全身反応時間は、光刺激による単純反応時間を測定した。無酸素性能力の測定は往復走の形式によりグランド測定 した。すなわち10mの間隔を10往復するのに要した時間を手動によるストップウォッチで測定した。測定中、スタート地点に戻って くる度にラップタイムを記録し、1往復ごとの平均スピードを算出した。これら10回の平均スピードのうち、逸脱しているプロット を除いて最小二乗法により指数回帰式(Y=a・e-bx)を求めた。なお全被検者ともスパイクを装着して行った。有酸素性能力は自転車 エルゴメータによる最大下多段階運動負荷テストにより測定した。すなわち、1段階につき4分間の運動を4段階行うものであった。 用いた自転車はモナーク祉製のもので,ペダル回転数は60回転/分、運動強度は450、540、630および720kpm/分であった。各負荷段階の 最後の1分間で酸素摂取量をダグラスバッグ法により測定した。また、各負荷段階の3分30秒から3分40秒までの心電図を記録し、こ の記録から1分間当たりの心拍数を求めた。この結果より、被検者ごとにPWC170(kpm/分)を算出した。また、最小二乗法により心拍 数と酸素摂取量の直線回帰式を求め、この式に「220-年齢」に相当する心拍数を代入することによって、各被検者の最大酸素摂取 量の推定値を算出した。


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