日本財団 図書館


表4 顧問用アンケート調査の概要

 対象運動部員の運動部活動に関する意識と、自分に対する顧問、担任教員の理解の程度、顧問、担任教師に対する自分の理解の程 度を明らかにするために、部員に対してアンケート調査を行った。アンケートの概要は表3の通りである。このうち、2.部員の主観に よる相互理解度に関わる調査は、対人関係における相互理解度の測定法の1つとしてその有効性を確かめるとともに、顧問に対す る同様の調査と比較検討し考察に役立てるために行ったものであり、顧問への情報提供においては直接的にはその結果を利用し なかった。
 2)顧問に対する調査
 対象運動部員一人ひとりについての顧問の評価や理解度を明らかにするために、顧問に対してアンケート調査を行った。アンケ ートの内容は表4の通りである。
 3)顧問への情報提供
 調査結果を整理した上で、部員一人ひとりについての情報を顧問に提供した。内容は、SPTTプロフィール、TSMIプロフィール、バウ ム-テストプロフィール、並びに部員へのアンケート結果に関する情報であった。
 4)情報提供後の顧問に対する調査
 提供された情報が運動部活動指導上どの程度参考になったかについて、顧問に評価を依頼した。
 5)運動量・エネルギー摂取量・蛋白質摂取量のデータ
 青少年体力向上専門委員会の研究班で同じ運動部を対象として調査を行った加賀谷・吉田班から運動量に関するデータを、同 じく稲山班からエネルギー摂取量・蛋白質摂取量に関するデータを取得した。



研究結果
1.個人別プロフィールの作成と顧問への情報提供
調査の結果から、個々の部員についての個人別プロフィールを作成し、顧問への情報提供を行った。図1-A〜図1-Dは、その一例とし てN君のケースを示したものである。顧問に提供した情報の内容は以下の通りである。

 1)SPTT
 SPTTの結果を、尺度毎に示し、個人別にSPTTプロフィールを作成した(図1-A)。

 2)TSMI
 TSMIの結果から、個人別にTSMIプロフィールを作成した(図1-B)。TSMIプロフィールのうち「意欲一不安のタイプ」は、横軸を競 技意欲、縦軸を競技不安とする2次元座標に、各部員の位置をプロットしたものである。競技意欲は、目標への挑戦、技術向上意欲、困 難の克服、練習意欲の4尺度の段階点(1〜9)の平均値であり、競技不安得点は、失敗不安と緊張性不安の段階点の平均値である。

 3)バウム-テスト
 バウム-テストの結果は、バウム-テスト解釈援助プログラム(溝口・落合9))を用いて基礎的な解釈を行った後に、顧問への情 報提供に有効と思われる形に整理し、個人別にプロフィール(バウム-テストの結果に基づくコメント、図1-C)を作成した。整理を 行うにあたっては、次の観点を基本的な注目点とした。
 ?行動に向かうエネルギー、?自己の潜在能力に対する自信、?向上意欲、?目標達成のための手段の明確さ、?周囲に対する一 般的な対応の在り方、?対人的な関わりにおける特徴

4)部員へアンケート
 部員へのアンケートのうち、現在の運動部活に対する意識を問う1〜22の質問項目については、各質問項目評定値を、落合ほか8) に基づき関連する要因ごとに合計し平均値を算出し、その要因の指標とした。この結果を個人別に図示した(図1-D)。



前ページ    目次へ    次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION