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尾高忠明
(指揮)

  1970年、桐朋学園を卒業。故斎藤秀雄氏に指揮法を師事したほか、作曲、理論、ホルンを学んだ。在学中の1968年、NHK交響楽団の指揮研究員となり、ヨーゼフ・カイルベルト、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、ロヴロ・フォン・マタチッチ諸氏の下で研鑚を積んだ。卒業後、第2回民音指揮者コンクールで第2位に入賞。その直後、ヨーロッパ諸都市で桐朋学園弦楽合奏団を指揮して大成功を収めた。1971年、NHK交響楽団を指揮してプロの指揮者として放送にもデビュー。1972年、オーストリア政府から奨学金を得てウィーン国立アカデミーに留学、ハンス・スワロフスキー教授に師事し、さらにオペラをシュパンナーゲル教授に学んだ。1974年4月から東京フィルハ一モニー交響楽団の常任指揮者を務め、1991年4月、同団の桂冠指揮者となった。1981年から1986年まで札幌交響楽団の常任指揮者を務め、1992年4月からは現在の読売日本交響楽団常任指揮者に就任。コンサート、オペラ、ラジオ、テレビなど幅広く活躍し、松村禎三、武満徹、三善晃など著名な作曲家の作品の初演も数多く手掛けている。1984年春には東京フィルのヨーロッパ演奏旅行を成功させ、1985年2月にはアメリカ交響楽団を指揮、邦人作品の初演を行ってニューヨーク・デビューを果たした。1987年4月、BBCウェールズ交響楽団の首席指揮者に就任。翌年同団を率いてプロムスにデビューし、絶賛を博した。ロンドン・サンデー・タイムズ紙は「オーケストラとの8年間、彼はウェールズで奇跡を行った。」と書いている。英国のほか、同団とオーストリア、ベルギー、チェコスロヴァキア、ドイツ、ロシアを訪れ、2回の日本公演と北米公演も行った。1996年1月からは同団の桂冠指揮者に就任。また、1995年にオープンした紀尾井ホールの専用オーケストラ、紀尾井シンフォニエッタ東京の初代ミュージカル・アドヴァイザー/首席指揮者に就任し、同年4月に行われたオーケストラのデビュー・コンサートは高く評価された。近年ではその他、オーストラリア(メルボルン交響楽団及びシドニー交響楽団)、1992年の英国ユース・オーケストラとのプロムスBBC交響楽団、ロンドン・フィル、バーミンガム市交響楽団、ロイヤル・リヴァプール・フィル、ハレ管弦楽団など世界各地のオーケストラに客演。1991年にはウェルシュ・ナショナル・オペラに「サロメ」公演でデビュー。1997年10/11月には、読売日本交響楽団との2度目のヨーロッパ公演を行った。また、バーミンガム市交響楽団、ハレ管弦楽団、スコットランド室内管弦楽団に再び客演し、ボーンマス交響楽団、レジデンティー管弦楽団との初共演も指揮している。1997/98シーズン以降はロンドン交響楽団、BBC交響楽団、オスロ・フィル、バンベルク交響楽団との客演が予定されている。1991年度第23回サントリー音楽賞受賞。1993年6月、ウェールズ音楽演劇大学は尾高に名誉会員の称号を贈り、また、ウェールズ大学からは名誉博士号が授与された。1997年8月、エリザベス女王よりCBE(最優秀英帝国勲章)を授与された。

 

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