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ジャック・イベール
(JacquesIbert1890.8.15〜1962.2.5)
 パリ音楽院演劇科に学んだ後、音楽科に入学。ペサールに和声楽、ジェダルジェに対位法とフーガ、ヴィダルに作曲を学んだ。24歳のとき第一次世界大戦が勃発し、海軍に入り士官となったが、戦後最初のローマ賞コンクールで1等賞を得た。ローマ留学中の作品、とくにピアノ曲集「物語」、管弦楽曲「寄港地」で大きな才能を認められ、その後才能を豊かに開花させた。終生広くフランス人から敬愛され、46歳でローマのフランス・アカデミー院長に任命された。55年にパリのオペラ座とオペラ・コミック座のレパートリー建て直しのため両劇場の総監督に、56年には栄誉あるフランス学士院会員に選ばれた原因はそこにある。彼の音楽は近代的古典主義に属し、手堅く自由な作曲技法、巧妙な構成法と管弦楽法、独創的な手法、豊かな色彩、変化あるリズム、清新な感情、鋭敏な感覚を特色とし、その曲は明快、軽妙、流麗で、洗練された機智と趣味に満ちている。彼は「天才は1%の霊感と99%の発汗(刻苦精進)である」と主張するが、その作品には発汗を感じさせない?達さがあり、その頭脳の明晰さとパリジャンらしい才気は作品に大きな魅力を与える要素となっている。

武満 徹
(1930.10.8〜1996.2.20)

 清瀬保二に作曲を学び、1951年、滝口修造、秋山邦晴、湯浅譲二らとグループ<実験工房>を結成。1957年東京交響楽団委嘱作品「弦楽のためのレクイエム」によって世に知られるようになる。1958年「ソン・カリグラフィー1」が20世紀音楽研究所主催の第2回現代音楽祭(軽井沢)作曲コンクールで第1位、フランス大使賞を獲得した。1961年第4回現代音楽祭で「環」がドイツ大使賞受賞、1962年には映画「もず」「不良少年」の音楽で、第16回毎日映画コンクール音楽部門賞を受賞。以降、さまざまな映画音楽賞を数多く受賞している。1963年「環礁」がパリのユネスコ/国際音楽評議会(IMC)の国際作曲家会議第5位。1965年には「テクスチュアズ」がIMCの最優秀作品賞に選ばれた。ニューヨーク・フィルハ一モニック創立125周年記念委嘱作品「ノヴェンバー・ステップス」が小澤征爾指揮により初演された1967年にはロックフェラー3世財団の招きによりニューヨークに6ヶ月滞在。以降、海外の音楽祭のテーマ作曲家として、また、コンクールの審査員としての活動が活発になる。1975年「カトレーン」が芸術祭大賞受賞。翌年尾高賞受賞。1980年目本芸術院賞受賞。1981年モービル音楽賞受賞。1985年朝日賞受賞。フランス政府より芸術文化勲章受賞。1988年京都音楽賞大賞受賞。1989年第1回飛騨古川音楽大賞受賞。1990年国際モーリス・ラヴェル賞受賞。1991年都民文化栄誉賞、毎日芸術賞、サントリー音楽賞、IMC音楽賞受賞。1993年国際交流基金賞受賞。1994年NHK文化賞受賞。1995年ロスアンゼルスの映画音楽保存協会功労賞受賞。東ドイツ芸術アカデミー名誉会員。フランス芸術院名誉会員。国際現代音楽協会名誉会員。イギリス王立音楽院名誉会員。アジア作曲家連盟名誉会員。


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