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(2)アウトソーシングとインソーシング

  地方公共団体では、コア・コンピタンスの議論を基にアウトソーシングを進めることになるが、実際には「内部資源の外部化(アウトソーシング)」という一方向だけでなく、「外部資源の内部化(インソーシング)」という選択肢もあり得る。コンピュータのダウンサイジングや、家庭等におけるパソコンの普及等から、部分的にはユーザーにおける運用管理等の可能性も出てきており、また、低コストによる情報システムの構築も可能になってきている。このようなことから、従来、アウトソーシングしていた情報システムをインソーシングしている事例も少なくない。アウトソーシングには効果が期待できる反面、いくつかの問題点も指摘されており、インソーシングすることで、これらの問題点を回避することが可能である。また、コストに関しても一般的にアウトソーシングの方が低いと考えられるが、一概にそうとは言えず、条件等からインソーシングした方がコスト削減につながる場合もある。
 したがって、地方公共団体では、情報システムに関する業務において、内部処理しているもの、アウトソーシングしているものを整理し、それらを逆にした場合、つまりアウトソーシング又はインソーシングした場合の効果・問題点を整理し、適切な組み合わせを導き出すことが望まれる。この場合、コア・コンピタンスに関する考え方や、内部における人的な資源等を十分考慮することが必要である。

表4−10 アウトソーシングとインソーシングの効果、問題点

 アウトソーシングインソーシング
効 果
コア・コンピタンスへの出力
コスト削減
新たな技術の活用
組織改革
情報化に関する知識の確保
ユーザー・ニーズへの柔軟な対応
コスト削減(条件により)
問題点
情報化に関する知識の空洞化
ユーザー・ニーズへの柔軟な対応
ベンダーへ依存
内部における労力増大
コスト増大
組織の硬直化
技術へのキャッチアップが困難

 

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