日本財団 図書館


(5) WBT導入の効果

 アプリケーションをサーバ側で実行するため、旧型の端末においても現行の汎用アプリケーションの稼働が可能になっており、本格的な導入を行った場合は旧型端末の再利用の効果が期待できる。
 また、WBTの端末は機能が限られていることから筐体が小さく、省スペース化につながるとともに、端末のポータビリティの高さもメリットとして挙げられる。トステムでは、WBTを社内で持ち歩き、大画面のテレビ等と接続してプレゼンテーションに活用している。
 その他、セキュリティ面での効果も挙げている。パソコンと異なり、WBTはそれ自体を盗んでも利用できないし、また、データ等も中に保存されていないので、サーバのみのセキュリティを強化すれぱ良い。


図3−4 トステムが導入しているWBT

(6) WBTの問題点

 WBTの価格は量産数が少ないこと等から10万円前後となっており、昨今、パソコンの低価格化が進み10万円を切るパソコンも発売されていることから、コスト的な魅力は低く、量産数増加による価格低下が望まれる。また、トステムによると、WBT及びTerminal Serverクライアント端末を利用した場合、1台当たり15〜20メガバイトのメモリーがサーバ側において必要である。このためサーバ1台当たりの端末数を多くするためには高機能なサーバが不可欠となり、サーバのコスト増大が懸念される。
 この他、アプリケーションの環境設定に関しては共用化されている場合が多く、ユーザー個々に切り替えることは現状では難しい状況にある。

(7) WBTに関する今後の動向

 トステムでは、WBT及びWTSの導入によりソフトウェアに関わるコストを3分の1程度に削減できると想定していた。しかし、上記の理由でソフトウェアの更新コスト削減のメリットがなくなったことから、トステムではWBT及びWTSの本格的な導入を見合わせている。今後、ソフトウェア・ライセンスに関する考え方や、WBTの価格等の変化が見られた折に再度本格導入を検討する予定である。
 もし、WTSの本格的な導入を行う場合は、パワーユーザーを除く、入力業務等を主とする一般事務や管理職以上向けの端末としてWBTを順次導入することを想定している。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION