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でもTS食で23日以上過ごした方が3名おられた。

緩和ケアの中での栄養部門の位置づけ 多くの緩和ケア施設の中では,栄養科部門として患者さんから出される種々の要望に十分に対応する体制がいまだにとれずにいる現状がある。これは,保険点数からも緩和ケア病棟に別途に認められる特別食事補助があるわけでなく,現実には必要度が高いとはいえ,制度的にこの分野に人的あるいは食材費的に余分な経費投入が困難な事情がある。
 また,ホスピスに入られた患者像を終末期のみと考える傾向があり,このことからベッド上で経口では少量の飲食をとられるのみとの認識が一般的である。しかし,ホスピスで受け入れる方々には在宅への移行期にある場合や症状コントロールが目的の場合が少なくなく,痛みや吐き気などの種々の肉体的な苦痛から解放されると,趣味や読書あるいは院内のサークルなどに活動的な時間を過ごされることもまれではない。こうした暮らしぶりは,当然食生活にも反映されることとなる。

表1 スタンダードメニュー

●ここで過ごされるためと望まれるかたちの生活に対して適切なエネルギー量と栄養量を供給することを目的とする。

●そして,何よりも患者さんの食に対する希望を満足させOOLを高めるために貢献する食事をめざす。

 

 

表3 TS食(Terminal Special)

●摂取方法,時間,調理方法,分量など通常食種の範囲での摂取が不可能になった場合で,経口摂取の可能性を維持したい場合に適応される。

●対応としては,可能な範囲での希望に添ったものとする。

●したがって,お出しするものの形態は流動形態に限らず時間も規定に縛られない。

 

 

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