日本財団 図書館



 ところで,血圧はこのように変動するものであるが,それでも変動が少ないものから,非常に大きいものまでいろいろである。これはただ単に変わっているのではなく,ある調節のシステムの下にコントロールされており,この調節系の異常によって,より大きな血圧動揺をきたすことが実験的に示されている。

B 血圧調節の神経性機序

1.調圧の機序

 先の章で述べたように,心臓,肺,そして血管などから,それぞれの圧の状態,あるいは肺の中の化学的あるいは物理的な状態を,脳へ信号として送りこみ,それによって上がりすぎた圧は下げ,下がりすぎた圧を上げるといった変動幅が狭い範囲にとどまるような調節の機序が存在する(図28)。
 この調節に関与する中枢神経系の領域は広い範囲にわたっているが,その一つに,脳幹の延髄や橋が重要な役割を果たしている。血圧や化学受容体からの信号は延髄に送られてくるが,ここから再び心臓や血管のほうへ指令が下りていく。この調圧反射の受容器は,一つは大動脈弓,もう一つは総頸動脈の分岐部のところにあり,その他心臓自体や肺循環系にも存在するといわれている。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION