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図11 流速と赤血球の配列

左心室の中では5〜120?Hg,大動脈では80〜120?Hgというように圧が転換され,そして細動脈の部位で著しい圧下降を生じて毛細管へ移行する。血圧とは,この管の中の側圧と流れによって生じる運動エネルギー,そして位置のエネルギーの総和であるが,実際には,側圧が血圧として測られる。すなわち,管の中の圧を針を入れて測るときには,針の向きによってその圧が異なってくる。針の向きが流れに逆らって開いているときには,運動のエネルギーが加わっているのでその分だけ圧が高くなり,逆に,流れの方向へ向けるときには運動のエネルギーが入っていないので,それだけ低くなる。これが運動のエネルギーによる圧の差になるが,実際には,安静時の血圧では,この運動エネルギーの占める要素が,全体の圧に比べて大体数パーセントぐらいといわれほとんど無視してよい。
 そこで,このピエゾメーターの一部が狭窄部で細くなっているとすると,これが細動脈に相当し,ここで圧が急に低下する。これは,この狭窄のところで流速が速くなり,流速が速くなるところでは運動のエネルギーは非常に大きくなって,その分だけ側圧が低下するわけで,これがBernouilliの定理である。次に,拡張部で管径が太くなるところでは速度が遅く,それだけ内圧が高くなる。

 

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