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 また,先ほどのお話にありましたが,欧米のようにこれから日本のターミナルケアは在宅でなされるようになるかもしれません。となれば,ボランティアの方々も在宅の患者さんが対象になってきます。もし皆さんが患者さんの自宅に行くとして,究極の在宅ボランティアというのは,昔よくあったように,隣の人が「ちょっと行って助けてやる」というようなことがいちばん近いことになっていくかもしれません。私は東京でも月島という下町の路地の奥に住んでいるのでよくわかるのですが,いつも隣にいる人を意識している,ときにはそれがお節介であったりするような土地なのですが,「隣の人に何をしてあげられるんだろう」という近所付き合いに戻っていくのかなというような感じもしています。

 たたず
“佇む”ボランティア

 さて,ボランティアというのは「何かできる」ということなのでしょうか。確かに何かをすることが求められているボランティアはもちろんあります。ボランティアには技術も必要だとは思います。しかし,それは常勤スタッフがやっている部分が多いと思います。ですからボランティアの特質というのは,何かをするということからはずれたような時間や空間をつくり出すというような仕事である場合が多いのではないでしょうか。ただそばにいてくれるだけということほどありがたい,賛沢なボランティアはないと思います。何かをするというのではなく,ただそこにいる。言葉では表現しにくいのですけれども,たいへん深い問題としてあるのではないかと思います。

 

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