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 そういったことを考えますと,マルチプロフェッショナルな環境の中でトレーニングすることがベストだと思います。つまり,それぞれのプロフェッショナルが自分が提供できるスキルを他のプロフェッショナルの人たちと分かち合いながら,サービスを提供するということになります。ロールモデルの近道はないということです。そして,そういうスキルを持っている人の隣に座ってそこから学んでいく。たとえば死にゆく人のアセスメトをしたいと思ったら,それができる人の隣に座ってそこから学んでいくということです。ですから,私のように緩和ケアのマネージメントをやっている者が臨床の面にも常にかかわる部分を残しておき,教育・研修の役割を果たせるようにしておくことが重要だと思います。
 他の医学の分野と比べてみますと,緩和ケアの場合には役割が重なり合う部分が多いのではないかと思います。ですから,医師やソーシャルワーカーなどの持っているスキルを分かち合い,ナースの教育にもかかわっていくことが重要だと思います。

日常業務の中から学ぶ

 セント・クリストファーズ・ホスピスの行っている教育の中で,もっとも効果的なのはon the job trainingです。たとえばソーシャルワーク部門が,すべてのスタッフに対して怒りにはどのように対応したらいいかという,怒りのマネージメントに対するセッションを行いました。これは医師とナースだけを対象にした講義ではなくて,スタッフ全員に対して行ったものです。というのも,私たち自身が怒りを感じることもあるし,また他の人も怒りにさらされることもあるからです。

 

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