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 病院の中でやる場合には,人と人の関係がすごく大事なので,そのために時間を使わなければいけないということです。ナースとの関係もよくしなければならないし,若い医師との関係もよくしなければいけません。コンサルテーションとしてナースを呼んでもらえるというところへこぎつけたいのですが,これも時間のかかることですからゆっくり構えなければいけません。とりわけ血液の医師と外科医の抵抗が強いようです。

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 話は違いますが,在宅ケアのチームとして30年地域で尽くしたにもかかわらず,まだまだ問題が全然ないというわけではないのです。先週のことでしたが,在宅ケアも順調にいっていて,死も近々という患者さんがいました。接続皮下注入を行っていました。奥さんも覚悟を決めて順調にいきそうだったのです。ところがGPがやってきて「入院だ。静脈注射をしなければいけないから」と言われた。それを聞いただけで奥さんは気が動転して,いまお医者さんが来てくださって,こうおっしゃるから入院させなければなりませんと私に電話をかけてきました。
 私はこのGPに直談判に行って事情を説明しました。医師も納得してくれたので,2人で揃ってその患者と奥さんのところに行きました。私に説得された医師が一緒にその家庭を訪問してくださったので,医師も納得の上で,いまはもう病院に行く必要はないのだというのを聞いてもらうことができました。患者さんは翌日,そのまま家で亡くなりましたが,そういうことがありました。
 30年やってきても,皆さんがいま抱えているのと同じ問題が起こっているのだということを知ってほしかったのです。

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