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ナース1人当たりが50〜60名を扱うということになると,定期的にすべての患者さんを見ることは無理があります。
 3番目のモデルは包括モデルというもので,これは英国では現在あまり行われておりません。これはホームケアチームがそのまま患者さんの主治医と担当看護婦になってサービスを提供するというもので,すべてのケアをそのチームで行うというものです。これではナース1名当たり4〜6名の患者さんしか扱えないということになります。

セント・クリストファーズ・ホスピスの在宅ケア

 1989年には,セント・クリストファーズ・ホスピスに1ヵ月36件の紹介しかありませんでしたが,1997年には毎月113件にのぼっています。
 そして地域別に4つのチームが活動しています。それからレスパイトケアのチームもできていて,亡くなる1週間前くらいから亡くなるまでの間のケアに当たっています。これもやはり家族が安心できるようにするための配慮です。一日中みるということではなくて,たとえば午前中2時間,午後2時間,あと夜間にナースを配置するといった形をとっています。
 患者さんが紹介されると,訪問して,まず評価をします。毎朝チームが集まって,新しい患者さんの場合には,その患者さんと家族に対してどうしたらいいかを話し合います。そして医師(GeneralPractitioner=GP)に電話をかけ(英国ではかかりつけ医師が決まっている),私たちの見解を伝えます。それを受けてGPのほうでどういう治療をするのが適切かという判断をします。私たちの意見を取り入れてもらっている場合は幸せだと思うのですが,緩和ケアに理解の浅いGPが私たちの言ったことに聞く耳を貸さなかった場合,それを回避するほかの手もあります。

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