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緩和ケアサービスの質の不均衡

 在宅ケアのチームについてですが,少ないほうでは1日に4件だけ扱っているところから,多いほうでは60件を扱っているナースチームもあり,平均すると15件扱っていることになります。60人も扱っている在宅サービスの場合には教育が中心になり,少ないほうでは実際に身体的なケアも提供しているということで,そのサービスの内容やコストはまちまちです。また,施設については,新しいデータはないのですが,ベッド数の少ないホスピスのほうがコスト高になり,コストの点からは15床以上あるほうが理想的だということになります。
 同じ英国といっても,ホスピスの所在やホスピスが実際にやっている作業には非常にばらつきがあります。英国のある地方ではがんで亡くなった方の30%以上がホスピスとなっています。また,今後の課題としては,少数のケースだけを扱うようなホスピスから,ホスピス教育的な役割,在宅でのケア,コミュニティサービスをどうミックスしていくかということになるということではないかと思います。
 教育のレベルで考えますと,スタッフ全員に対しては中核となる知識と技術を提供し,それから少数の人たちに対しては選択的な専門知識と専門技術を持たせることが必要です。現在使われている治療法や,提供されているサービスなどに関する評価をしていく必要は当然ありますが,そもそも緩和ケアとは何かという出発点を忘れないことが重要だと思います。

 

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