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モルヒネとGOTの相関性を知らない人は,心臓が悪いとか,肝臓が悪いとかいう。 私はコレステロールが高いのでコレステロールを下げる薬を飲んでいますから,アルコールを飲まないのにγ-GPTが高いのです。薬をやめたら2週間後に普通に戻った。こういう場合にはγ-GPTが正常値を超えているからといって病気とはいえないのです。また,血液中のカリウム値が高い。それは夜間に採血して,その夜は冷蔵庫に保存して,翌朝検査室に持っていったからかもしれない。なぜなら血液は低い温度で保存すると赤血球中のカリウムが細胞から漏れて出て,6とか7mEq/lという数値になることがあるからです。数値が8になれば心臓が停止します。それなのに患者には何の変化も見られません。

 また,なぜいつも尿素窒素とクレアチニンをいつも一緒に採るのでしょうか。経費の点からいえば2つ採る必要がないのかもしれません。ケースによってどちらか一つでよいのかもしれない。尿素窒素は蛋白質を多くとると一次的に高くなります。クレアチニン-クリアランスはある程度一定です。尿量の多くない患者のクレアチニン-クリアランスを測定する場合にはなるべくたくさん水を飲んでもらう。そして血清クレアチニンを測定する。血清クレアチニンは,普通は1mgですから,2mgでは腎機能は2分の1,3mgには3分の1と評価できる。この数値が8か9になれば透析をしなければならない。

 このようなデータを正確に判読するのには,深くかつ幅広い医学知識と薬理的相乗効果に通暁していなければならないのです。

 

 

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