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 もう少し高度な訓練を施したエイドには簡単なバイタルサインの測定までまかせているということです。ここに医師とコメディカルとが加わって,患者のQOLのニーズに対応していくことが求められるのです。このような困難な事態にどのような哲学で取り組もうとしているのでしょうか。

 先のメディカルセンターでは,もとのべス・イスラエル病院で看護部長を務めていたクリフォードさんが副院長に就任しています。経営上やむを得ないこととはいえ,学士号をもつナースが大部分を占めレベルの高いナーシングを誇っていた病院から,このような看護力でなおかつ質の高い看護を提供するのにはどのような困難があるのでしょうか。クリフォード副院長は看護への影響を次のように話していました。

 在院日数の短縮化は看護婦の仕事をたいへんハードにしています。一つのベッドをめぐって患者さんが一日に二回転も三回転もするのですから,いっ時も気を抜くことは許されません。その上,看護スタッフヘの目配りもこれまで以上に要求されます。それより何より患者さんのQOLを何としても保証していかなければならないのです,と。

 クリフォード副院長が懸念しておられる医療の質については,このような厳しい医療費の締め付けでは患者のQOLは低下するのも必然だという非難の声が現場から上がっています。しかし,医療費がGNPの13%を超え,国家財政を大きく圧迫している状況を打ち破るためには,どこかにしわ寄せがくるのもやむを得ないといわざるを得ないのでしょうか。

 

 

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