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(4)盲導犬訓練施設の財源
盲導犬訓練施設の主たる財源をみると、個人寄付や法人寄付、会費収入などの寄付金収入が占める割合は収入額全体の約70%に達している。その他、受託収入は約12%、事業収入は約9%の割合になっている。この収入の内訳比率は施設によって多少異なるものの、基本的には収入の大半を寄付金に依存していることから、財源が安定的でなく年度予算がたてにくい、中長期的展望に基づく事業が計画しにくい、などの問題が生じやすい財務体質となっている。また、資金調達のために、バザーやチャリティショーを行なっている施設もあるが、そのために多くの人件費や経費が伴っているのも実情である。その上、盲導犬の普及および盲導犬事業の啓発を促進するための役割がこれまで以上に期待される場合には、さらなる人的・資金的余裕が必要になると考えられる。盲導犬の育成頭数の拡大や訓練職員の増員、専門職員の配置など、盲導犬育成事業の強化へ向けた事業計画を実現するためにも、財源の確保・安定化はとりわけ重要な課題となるが、そのためにも、公的な助成金の増額などを含めた具体的な財政支援策の検討が不可欠である。

(5)共同センターの設立
盲導犬訓練施設では、それぞれの施設が独自に盲導犬繁殖・育成のためのプログラムをつくっている。しかし、今後、盲導犬の需要が急速に拡大した場合には、現在の訓練施設での対応可能容量をはるかに越えてしまうことも予想されることから、安定的かつ効率的な盲導犬の作出のためにも、盲導犬共同繁殖センターの設置を必要と考える施設も多い。
また、各施設では、盲導犬訓練士の増員とともに、飼育・管理、繁殖・医療、パピーウォーカー、フォローアップ・アフターケアを行なう専門職の配置を計画しているが、その実現のためには、盲導犬訓練士・歩行指導員などの養成機関の設置が必要と考えられる。




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