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「油防除資機材の性能の評価及び再評価に関する調査研究」の報告書

 事業名 油防除資機材の性能の評価及び再評価に関する調査研究
 団体名 海上災害防止センター  


■事業の内容

海上防災に関する基礎技術の解明を図るとともに、各分野にわたる科学技術を取り入れた最適防災技術を調査研究することにより、海洋環境の保全並びに海上災害の防止に寄与することを目的として、以下の事業を実施した。

 [1] 欧州の油防除資機材の現状調査
   イギリス、ノルウェー及びスウェーデン3か国における油防除資機材の性能基準、試験方法及び使用限界等並びに油防除資機材の開発状況を調査した。

 [2] 現有の油防除資機材の性能基準の検討
   現行性能試験基準を参考に、型式承認されている油吸着材の高粘度油に対する性能の調査及び油処理材、油ゲル化剤のC重油等の粘度変化に対する使用限界等の性能評価を行い、問題点を整理した。

 [3] 油防除資機材の有効性の評価
   現行の性能基準にない新規の航空機散布様油処理剤について、性能及び有効性を調査した。

 [4] 油防除資機材の要求性能の検討
   油回収装置の性能試験で使用する、当海上災害防止センター研修所訓練水槽の特性調査を行うとともに、[1]〜[2]の結果を踏まえ、油防除資機材の要求性能について検討した。
■事業の成果

[1] 欧州の油防除資機材の現状調査
  [1] 調査した欧州3か国とも物理的な油防除資機材に対する性能基準はなく、化学的処理薬剤についてのみ基準が制定されていた。また、型式承認制度のようなものはなかった。
  [2] 化学的処理薬剤の基準については、各国ともそれぞれ次のとおり定めていた。
   a.イギリス
     毒性基準(魚、エビ、貝の海棲生物で試験実施)、使用基準(距岸1海里以上、水深20m以上)を設けている。
   b.ノルウェー
     毒性基準はなく、使用基準あり(1事故あたり1,000l)を設けている。
  [3] 高粘度油の回収に対する考え方は、イギリスでは早期対応を重視し、航空機による油処理剤散布を高く評価している。ノルウェーでは、機械的回収を前提として油防除活動を行っているが、高粘度油を対象とした対応は考えていない。スウェーデンでは、グラブバケットや柄杓等による人力回収を考えていた。
 [2] 現有の油防除資機材の性能基準の検討
  [1] 現有油吸着材の高粘度油に対する吸油性能の調査
    現行性能試験基準(運輸省通達舶査第52号)を参考に、型式承認されている油吸着材10種類について、C重油を供試油とし、かつ、十分な油層厚のもとで調査した結果、次のことが判明した。
   a.本調査に用いた試験方法は、吸油量にバラツキが多い。
   b.本調査の実験範囲の高粘度油では、全体的に30分程度の静置時間で吸油量がほぼ平衡となる。
   c.油吸着材の性能評価は、単位重量当たりの給油量(g/g)及び単位容積当たりの給油量(g/c〓)で行うより、試験片1毎当たりの給油量(g/枚)を用いた方がユーザーに対し適切な指針となる。
   d.提供試油を用いた含水率60%のムース化油に対し、油吸着材の吸油効果はほとんどない。
  [2] 油処理材の乳化性能調査
    現行性能試験基準(運輸省通達舶査第52号)を参考に、C重油を供試油とし、通常型油処理剤、高粘度油用油処理剤、航空機散布用油処理剤及び外国製油処理剤について調査した結果、次のことが判明した。
   a.通常型油処理剤の粘度に対する有効範囲は、乳化率20%を基準とすれば、油処理剤により若干の性能の差はあるが、約3,000cSt前後ということが言える。
   b.各油処理剤とも粘度が高くなるほど乳化性能が低下する傾向を示す。特に通常型油処理剤は粘度が3,000cStになると、乳化率はB重油での乳化率の約1/2〜1/3に減少する。
   c.高粘度油用油処理剤D−1128及び航空機散布用油処理剤S−5は、通常型油処理剤と比べ数倍の高い性能を示した。
   d.油処理剤により若干の性能の差はあるが、粘度3,000cStにおいて通常型油処理剤は対油散布率20%を下回ると乳化率20%を維持できないかった。
     一方、高粘度油用油処理剤D−1128は、対油散布率約4%で乳化率20%を維持できた。
   e.外国製油処理剤については、実際は散布量が多い方が乳化しているにもかかわらず、散布量を減らすと乳化率が向上するという矛盾した結果となった。
   f.ムース化油に対する油処理剤の乳化性能については、ムース化油に油処理剤が浸透しないこと、また、実際の海面では常に油面に水膜が存在し、油処理剤自体が先に海水と乳化するため、効果が著しく低下する。
  [3] 油ゲル化剤のゲル化性能調査
    現行性能試験基準(運輸省通達舶査第52号、同省通達海査第635号)を参考、C重油を供試油として調査した結果、次のことが判明した。
   a.液体油ゲル化剤、粉末油ゲル化剤とも、高粘度油に対しては油面の一部をゲル化するが、油全体にゲル化剤が会合しないためゲル化しない油が残る。
   b.本調査研究で採用している試験法では、ゲル化油と未ゲル化油の混合物がステンレス製ふるい(メッシュ1.8mm)の網目を塞ぎ、ふるいを通して落ちる油が極少量となる。このため、四塩素炭素による油分抽出量が低くなり、結果としてゲル化率が高い値を示すこととなる。
     このことから、高粘度油のゲル化率を求める試験法として適さないことが判明した。
 [3] 油防除資機材の有効性の評価
   試作した航空機散布用油処理剤及び同油処理剤の性能試験法(以下「MDPC法」と言う。)について、乳化率と両親媒性溶剤の含有量の関係を調査した。
  [1] 航空機散布用油処理剤の性能調査
    航空機散布用油処理剤として有望な試作品を得ることができたが、更に両親媒性溶剤の含有量と乳化率の関係を明らかにするべく、次年度以降継続して調査し、実用化を図ることとする。
  [2] MDPC法の確立
    本年度の試験結果より、両親媒性溶剤が含有していない試作品においても、両親媒性溶剤が含有している試作品と同程度の乳化率を得る結果となった。MDPC法が暫定試験法であることから、今後、振とう時間、振幅等見直すことが必要である。
  [3] 新規に開発された資機材の調査
    国内外で新規に開発された資機材について、パンフレット、文献等から調査を行った。
 [4] 油防除資機材の要求性能の検討
  [1] 水槽特性の調査
   a.波長3mから同10mまで各1m毎の波長において、設定波高と実測波高の関係を明らかにした。
   b.造波開始から十分な時間が経過した波高は、造波開始直後の波高と非核し、反射波の影響を大きく受け、特に波長6mの場合は、波長が水槽全長の1/2となり、反射波と入射波が同調し、波高が多くなることが判明した。また、これとは逆に、波長5、7、9、10mでは、造波板の動きと反射波の位相の関係で波高が減衰することが判明した。
  [2] 油回収装置予備試験
   a.本訓練水槽では、現有の油回収装置の大部分が実機での性能試験を実施できる。ただし、油回収船、船体個縛タイプ等の装置については検討を要する。
   b.波浪中では、油回収装置の浮体部等から反射波や上下動による渦流が発生し、波浪による影響が大きくことが判明した。
   c.油回収性能試験においては、油の回収状況、装置の挙動等について試験実施者の観察・評価等が重要な要素となることが考えられる。





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更新日: 2019年8月10日

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