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■事業の内容

本調査は、物流新時代における近畿圏の消費財物流等、流通における一大要素である消費者と生産・販売間の物流の実態を探り、それらの物流の動向やニーズを整理し、物流が社会と共生していくことの重要性を踏まえた消費財物流における合理的な役割分担や方向性を検討し、新しい仕組みづくりに資することを目的として、以下の事業を実施した。
 [1] 近畿圏における消費財物流等に対する現状と問題点の把握
   ・ コンテナ貨物流動調査、税関統計等の既存統計を用い、近畿圏における消費財物流の特徴と構造を分析し、とりまとめた。
   ・ データ分析等により、大阪港、神戸港、関西国際空港に関して、個別輸入拠点の特徴を東京圏の空港、港湾と比較することによりその特徴を分析し、とりまとめた。
   ・ 近畿圏における消費財物流の今後を見通すため、東アジア諸国等の国勢状況、民間企業における消費財輸入の潮流等を既存資料から分析し、とりまとめた。
 [2] 荷主・物流事業者に対する消費財物流に対するニーズの現状と問題点の把握
   ・ 近畿圏内の主たる荷主1,633社を対象とし、消費財物流の実態把握のためのアンケート調査を(回収数 256社、回収率 15.7%)実施し、消費財物流の現状、課題、今後の動向等について民間意向を把握しとりまとめた。なお、物流事業者に対しては委員会等の検討の結果、アンケートではなくヒアリング実施により状況を把握することとした。
   ・ 近畿圏内の主たる物流事業者、具体的にはフォワーダ、ステベ、倉庫業、商社、量販店、百貨店等に対してヒアリング調査を実施し、近畿圏内の国際物流経路決定構造、港湾・空港選択理由等の現状と、東京圏に比べた当該地域の問題点を分析し、とりまとめた。
 [3] 消費財物流等の事例の把握
   ・ ヒアリング調査の結果から、近畿圏における消費財物流の具体的な流れをモデルケースごとに示した。(高級アパレル、生鮮貨物、雑貨、通信販売雑貨等)
   ・ 具体的な消費財物流の流れ等から、民間企業が指向している消費財物流の目的を7つの項目に整理し、とりまとめた。
 [4] 消費財物流等の関連施策の把握
   全国のFAZ(輸入促進地域)事例における輸入促進のための関連施策を示すとともに、現状のFAZの問題点と対応させることにより、消費財物流効率化のための関連施策の課題について検討し、とりまとめた。
 [5] 調査のとりまとめ、報告書の作成
   上記の調査結果について委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
   ・部 数 A4版 153頁 80部
   ・配付先 運輸省、委員会委員等
■事業の成果

本調査は、2ヵ年にわたって実施するものであり、初年度である本年度は、既存データでは把握しにくい近畿圏における消費財物流の具体的な構造を把握することを目的として実施した。本調査では、近畿圏における消費財物流の動向を概略的にデータ分析を行った他、モデルケースごとの具体的な流通経路、流通手段、流通目的等を把握した。これにより、近畿圏において消費財物流構造のアウトラインを概観することが可能となった。また、今後、近畿圏において消費財物流が増加すると予想される中での民間企業のニーズ、合理化の目的を明らかにすることができた。これにより、今後の行政施策立案時の参考になるものと考えられる。

 このような本年度の消費財物流に関する基礎的な情報を受け、来年度では民間企業の消費財物流の現況をもとに、既存港湾、空港施設の適合状況、望まれる近畿圏における消費財物流のあり方等を検討し、近畿圏の合理的な消費財物流のための具体的施策を提案していく。





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