日本財団 図書館


■事業の内容

標準火災試験炉については、平成8年12月の海上人命安全条約(SOLAS条約)改正により、隔壁、防火扉、甲板等の防火性能を認識するための「火災試験方法コード」を新たに定め、これを平成10年7月1日から強制適用することとなり、上記コードに定められた試験体の最小寸法が、現在国内で船舶関係の標準火災試験を実施している試験炉と比べかなり大きくなっている。このため、新しいコードに対応可能な試験炉を新たに整備しないと、今後国内において、標準火災試験が実施出来なくなるため、従来の炉を整備し、来るべき平成10年7月1日の強制適用に対処することを目的として、次のとおり、標準火災試験暖炉を整備した。
 [1] 施設の名称  標準火災試験炉
[2] 設置場所   船舶艤装品研究所
[3] 構   造  
  [1] 標準火災試験用垂直炉
    鋼板型鋼溶接構造 耐熱シルバー塗装仕上げ
    試験炉開口部の大きさ  幅  :2,500mm
                高さ :2,500mm
    試験炉の奥行き     奥行き:  900mm
  [1] 標準火災試験用水平炉
    鋼板型鋼溶接構造 耐熱シルバー塗装仕上げ
    試験炉開口部の大きさ  幅  :2,500mm
                高さ :3,000mm
    試験炉の奥行き     奥行き:  900mm
 [4] 施設の概要
  [1] 本設備は、標準火災試験用垂直炉と標準火災試験用水平炉及び制御盤からなる。
    温度を急速に上昇させる試験において、フラットフレームバーナー及びハイスピードバーナーを併用し、火災試験曲線に沿って加温制御する。
      標準火災試験用垂直炉    1基
      標準火災試験用水平炉    1基
      2炉共用制御盤       1基
  [2] 上記主設備に排煙装置が設置され、これは、排煙処理炉と制御盤からなる。
    垂直炉と水平炉から出た排煙の未燃成分を、まずおよそ700℃で熱分解し、熱分解出来なかった無機成分のちり等はシャワー装置で取り除かれる。
      排気フードおよびダクト   1式
      排煙処理炉装置       1基
      制御盤           1基
■事業の成果

今回、標準火災試験炉を、新しい「火災試験方法コード」の基準に合う試験が出来るように整備したことにより、船舶用扉、窓、甲板等の国内メーカーは、平成10年7月1日からの強制適用されるコードに対応出来るようになった。

 国内では、船舶に関する限り、標準火災試験を実施出来る設備を保有する所は当研究所だけであり、この標準火災試験炉を新コードに対応した炉に整備出来た事は、引続き世界における主要造船国としての地位を維持していくためにも、また、この業界では比較的規模が小さいメーカーが多いだけに、施設の利用とコスト面から大いに貢献できるものと予測される。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION