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「海外における船用機器等の検査に関する調査研究」の報告書

 事業名 海外における船用機器等の検査に関する調査研究
 団体名 日本船舶品質管理協会  


■事業の内容

近年においては、外国の船用機器等の我が国への流入の機運が増加している。一方、社会的な要望により規制緩和の流れ等を受けて、我が国の船用機器等に係わる検査制度についての見直しも検討が進められている。今後の見直しによって検査制度及び運用の変更が行われた場合には、関係事業場において新しい検査制度への対応によっては当会員の事業の存続に大きな影響を与えかねない重要な問題となるので、事前にこれらに関する問題点等を調査研究し、今後の対応に備えておく必要がある。このため、最近の諸外国における船用機器等の検査及び品質管理状況等を調査し、これらの製品に対する検査及び品質管理状況等を様々な角度から比較検討し、派生する問題点を摘出して、関係企業の将来の経営基盤の安定・強化を計るに必要な対応資料の提供を行うことを目的として、次の事業を実施した。
 なお、平成7年度の西欧5ヵ国、同8年度のアメリカ、カナダ、パナマ3カ国に続き、平成9年度は韓国、中国及び東南アジア諸国、計7カ国の船用機器等の検査制度について調査した。
 [1] 調査の方法
  [1] 予備調査
    先ず調査対象国7ヵ国の船舶安全関係法令の概要を把握するべく、質問項目の整理と問合せ先の選定をした。調査対象諸国の船舶検査所掌部署は運輸省海上技術安全局、財東京エムオウユウ事務局、財海外造船協力センターの情報により質問書を送ることとしたが、東南アジア諸国については、結果的に各国に駐在されている運輸技官の情報に頼り、かつ、質問書を託すこととなった。
    以上の結果、中国及びマレーシア政府を除き、年度当初に発送した質問書への回答は全て得た。
   中国については、同国の政府と船級協会とは実質的に一体の組織であることが予想されたことから、質問書は送付したものの特に政府担当部署の再調査は行わなかったが、質問書への中国船級協会(CCS)の回答者である副会長は、中国交通部(省)、船舶検験局の副局長であり、従ってその回答は政府の回答でもあったと言える。
  [2] 訪問先の選定と海外調査の実施
    各国政府の船舶検査部署の他、検査試験研究機関、船用機器製造企業等を調べ、この中から問い合わせるべき担当が分かること、適当な日程で無理なく回れること等を勘案し、アポイントの申し込みをした。結果的に、韓国、中国及び台湾は同国の船級協会のみ、その他の東南アジア諸国は政府の検査担当部署の訪問が実現した。
    訪問先、調査対象国が多いことから、10月に韓国、中国地区、11月に東南アジア地区を訪問した。中国船級協会からは質問に対しては親切な回答があったが、再三の訪問の打診に対しては出発まで応答なく、急遽上海事務所の訪問に切り替えた。マレーシアに代えて調査対象としたタイについては、JICA駐在員(運輸技官)に質問書を託し、訪問期間の土日曜日を活用して同国に立ち寄り回答を得た。なお、韓国政府からは10月16日付の回答書を27日に受領した。また、中国船級協会からは訪問受諾のファックスが、韓国・中国地区訪問中の10月7日に入っていた。東南アジア地区と韓国・中国地区が逆の日程であったら間に合ったところであるが、東南アジアでは10月まで大規模な山林火災が続いていた上、やはりマレーシア国からの回答待ちであったことからこれは止むを得なかった。
 [2] 調査の結果概要
   昨年末から経済危機が報道され、政権の交代もあった韓国は、この3月に行政機構も再編中であり、政府からの回答にあった通り、今後政府の船舶検査部門の業務は拡大せず、その執行には同国船級協会(KR)と、漁船協会を改組して新たに設立される予定の法人が活用されることになろう。
   中国の船舶検査部門は中華人民共和国・交通部・船舶検験局(略して“中国船検”−“ZC”)である。中国船級協会(CCS)は1988年5月にKRとともに国際船級協会連合(IACS)のメンバーとなった。CCSの会長、副会長はZCの局長、副局長が兼務している。
   台湾は「中華民国」と称して現在独自の政治体制を保ち、同国の「船舶法」は1930年に制定されたもので、我が国の船舶法、船舶安全法、トン数制度法を包含する。船級協会(CR)の設立はCCSよりも5年早い1951年である。
   インドネシアは、今回調べた東南アジア諸国の中では唯一独自の船級協会(BKI)を有し、全長20m以上又は100GT以上又は主機関出力100PS以上の船舶に入級を強制し、船体、機関の検査を任せている。
   シンガポール国の商船法(Marchant Shipping Act)、同規則(Marchant Shipping Regulations,Rules)は、国際条約を基にしており、例えば「商船(安全条約)規則」は、ごく一部の章(第4章 及び6章)を除きSOLAS条約そのままの構成、表題となっている。
   タイ国においては、船舶検査規則(Regulations on ship survey) が船舶の構造設備を規制し、第15号が外洋航行船舶を規制している。現在第15号の改正が検討され、この規則は廃止されて、新たな規則が制定される予定である。
   フィリピンの「商船規則」(PMMRR)は1974年に制定されたもので、本年1月に改正される予定であった。改正案においては、3GT未満の船舶であっても貨客の輸送、または他船の曳航に従事するものは適用の対象としている。
   船舶無線設備の基準に関して若干ふれると、シンガポールでは「遠距離通信管理法(1992年)」及び「無線通信規則(1994年)」に規定があり、航海機器の要件は「商船(安全条約)規則」に規定されている。法令の制改定及び検査の執行は、無線局免許とともに通信庁(TAS-Telecommunication Authority of Singapore)の所管であったが、合理化の観点から、'97年4月より、無線設備の検査、安全無線電信証書の発給ともMPAの所掌となっている。
   フィリピンには、連邦法第3396号(船舶無線局法)及び同第3846号(フィリピン無線規制法)があり、国家通信委員会(NTC−運輸通信省に属する庁)が海上無線局関係規則施行の担当部局で、無線設備の検査を執行する。船舶が外国にある場合は、主要IACSメンバーの検査が認知されている。
 [3] 訪問調査企業の概要
[1] Hitachi Zosen Singapore Limited(シンガポール)
    1970年、日立造船とROBIN SHIPYARDとの50:50の出資比率で設立。敷地面積35万平方メートル。
    新造船台:190m×40m(3万DWT)、修繕ドック:30万DWT。年間売上130〜160億円。
  [2] P.T.NIIGATA Santana Diesel Engine Mfg. Indonesia(インドネシア)
    1987年5月設立。出資比率:新潟鐵工70%、Delta Santana 30%。敷地面積13,659平方メートル・製品は舶用ディーゼル機関(500〜10,000PS)、据付とアフターサービスが主で、売上の約50%になる。
  [3] Mikado Philippines Corporation (フィリピン)
    1989年2月設立。資本金約5億円、敷地面積:15,000平方メートル。製品は直径3,500mm、重量2,500kg以下のプロペラで月産約50トン。ISO 9002を '97年10月にABSで取得。
  [4] 現代精工(株)(HYUNDAI PRECISION & IND. CO., LTD.)(韓国)
    1977年7月設立、現代重工のコンテナ部門と現代車両が統合したもの。製造品目はコンテナ、鉄道車両、自動車(四駆RV)等で、96年の売上高約30億米ドル。救命艇は年間約180隻製造している。
  [5] 青島北海船廠游艇分廠(中国・青島市)
    中国船舶工業総公司(CSSC)、青島北海船廠の游艇分廠として1983年に設立。ノルウェーのHARDING 社から技術導入して救命艇の製造を始めた。現在年産約170隻、従業員は 180人、うち60人が管理部門で、その内20人が設計部門。
  [6] 無錫海鴻制艇有限公司(中国・江蘇無錫)
    1971年にセメント船を建造、 '78年からFRP船の建造を開始、 '79年中国交通部の企業となり、 '83年中国船舶工業総公司(CSSC)の組織に入った。 '92年に香港のマーランド社と合併、その後1997年12月に香港マーランド社100%出資の完全民営企業となった。従業員約200人、年間150〜200隻製造のうち救命艇は約120隻、約40%は輸出である。
  [7] HANYOUNG ENTERPRISE., LTD (韓国・釜山)
    訪問していないが、質問に対して最も詳細な回答を寄せられた救命いかだSSである。設立は1987年10月、資本1億ウオン、工場面積737平方メートル、従業員18人、整備実績は年間約1,000台で、受検実績は韓国政府及びKR423台、漁船協会105台、RS220台、NK137台、BV11台等。
  [8] B.P.MATA & CO.,INC.(フィリピン)
    1966年、船具販売業として設立。 '68年膨張式救命いかだSSとしてフィリピンコーストガードの承認、 '80年、膨張式救命いかだSSとしてUSCGの承認を得る。
    資本金1,000万ペソ、従業員は40人、整備台数は年間約2,000台。
  [9] タクナスエンジニアリング及びジャスコートテクニカルサービス(シンガポール)
    前者は1977年の設立、資本は約100万Sドル、船舶及び陸上プラントの自動制御装置、計装機器の調整、修理等を手掛けている。後者は1993年4月の設立で資本20万Sドルで、GMDSS機器のSSとして関東運輸局の証明を受けている。
■事業の成果

本調査により、我が国近隣の韓国、中国、台湾、その他東南アジア諸国の船舶検査関係法令、所掌政府組織、検査実施機関、船舶用機器・設備の検査制度の概要が把握できた。

 本事業の報告書が、当会会員並びに船舶関係団体、船舶用機器、設備の製造業者に周知されることにより、我が国事業者の海外との通商取引、技術又は生産提携、或いはOEMによる製造販売方式等への事業展開を促し、もって当会会員企業並びに関係事業者の経営基盤の強化と海上における安全の向上に寄与する事が期待される。





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更新日: 2019年9月21日

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