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■事業の内容

平成9年1月2日にロシア船タンカーナホトカ号による重油流出事故が発生し、海上保安庁の巡視船をはじめとして海上災害防止センター傘下の契約防災措置実施者の作業船等多数の船艇が油防除作業に従事したが、厳しい気象・海象のため海上において十分な油回収ができず、結果的に多量の油が日本海沿岸に漂着し、多大の被害をもたらした。
 これは、これまでの我が国の油防除体制が沿岸ないし内湾を対象としていたため、外洋荒天下で対応可能な資機材や高粘度油に対応可能な資機材の整備が不十分であったことによるところが大きい。
 政府においては、この反省を踏まえて運輸技術審議会に「流出油防除体制総合検討委員会」を設け、我が国の油防除体制の強化について検討を行った。
 そしてその報告において、現今は外洋荒天下においても一定程度有効に機能し、また高粘度油への対応が可能な大型油回収装置が存在することから、今後はそれらの内から有効と認められるものを導入整備する必要性が示されている。
 更に、大型油回収装置の整備に当たっては、海上災害防止センターに配置、整備することを提言している。
 このような状況を踏まえ、現存する資機材のうち最も性能の高い資機材(最大波高2.5m程度まで対応可能)を早急に整備し、外洋、荒天下における防除体制を強化することを目的として次の事業を実施する。
 [1] 事業の実施内容
  [1] 機器の名称  大型油回収装置の整備
  [2] 配備場所   門司港(日本サルベージ株式会社保管予定)
  [3] 性   能  最大波高:2.5m
           曳航速度:1.5ノット
処理能力:250平方メートル/時以上
  [4] 構   造  油回収ユニット、集油ユニット、貯油ユニットを兼ね備えた総合システム
  [5] 機器の概要  油回収ユニット:スキマー/ポンプ
           集油ユニット:外洋型充気式自立型オイルフェンス
           貯油ユニット:油回収バック
■事業の成果

外洋、荒天下においても一定程度有効に機能し、また高粘度油への対応が可能な大型油回収装置を船舶に搭載して活用することにより外洋、荒天下における防除体制を強化し油拡散被害の広域化等を最小限に抑えることと思料され、本事業による成果を期待する。





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