■事業の内容
本事業は、開発途上国の運輸分野の各セクターにわたる総合的な運輸インフラ整備のため、ハード面及びソフト面の課題について、開発途上国で多数の関係者を集めセミナーを開催し、運輸分野の人材育成及び人のネットワーク構築を図り、当該開発途上国の多数の関係者が総合的な運輸インフラ整備について共通の認識をもつことにより、その促進を図るため、以下の事業を実施した。 [1] ハノイセミナーの開催 [1] 日 時 平成9年12月12日(金)午前8時〜午後4時 平成9年12月13日(土)午前8時〜午後1時 [2] 場 所 ハノイ市 アーミイゲストハウス [3] テーマ ヴィエトナムの運輸インフラ整備戦略について [4] 講師と講演内容 a.日本の経済成長と運輸政策 今野修平 大阪産業大学教授 b.日本の高速道路整備 根本敏則 一橋大学教授 c.日本国鉄の機構改革 井山嗣夫 国際観光振興会会長 d.工業化のための物流の役割 稲村 肇 東北大学教授 e.東アジアの空港設備 木村東一 野村総合研究所取締役 f.東アジアの港湾整備 西田幸男 国際臨海開発研究センター専務理事 (鈴木部長代理参加) g.ヴィエトナム運輸開発戦略 ファン・タイン・ビン 運輸開発戦略研究所部長 [5] 参加者 ヴィエトナム側 運輸次官、運輸開発戦略研究所長、首相府、運輸省、計画投資省、科学・技術環境省、運輸大学、ヴィエトナム国鉄、ヴィエトナムテレビ局、ヴィエトナム放送局ほか80名 日 本 側 講師(6名)、運輸省、日本大使館、在ヴィエトナム運輸関係日本企業、協会ほか25名 [2] ホーチミンセミナーの開催 [1] 日 時 平成9年12月16日(火)午前8時〜午後1時 [2] 場 所 ホーチミン市 ニューワールドホテル [3] テーマ ヴィエトナムの運輸インフラ整備戦略について [4] 講師とテーマ a.工業化のための物流の役割 稲村 肇 東北大学教授 b.ホーチミン市の都市交通開発戦略 レ・クア 運輸開発戦略研究所南支局長 以上のほかヴィエトナム側からの質問に応える形で、次の講師がそれぞれ講演した。 c.日本国鉄 井山嗣夫 国際観光振興会会長 d.日本の経済成長と運輸インフラの整備 今野修平 大阪産業大学教授 e.日本の港湾整備 望月規行 海外運輸協力協会 運輸協力研究センター長 [5] 参加者 ヴィエトナム側 ホーチミン市人民委員会副委員長、ホーチミン市都市計画局長、サイゴン港湾局長、運輸開発戦略研究所南支局ほか48名 日 本 側 講師(3名)、運輸省、日本総領事館首席領事、協会、在ヴィエトナム運輸関係日本企業ほか16名 [3] 行 程 12月 8日(月) 移動:日本(成田)→ヴィエトナム(ハノイ) 9日(火) 運輸省、日本大使館訪問 10日(水) セミナー準備 11日(木) ハイフォン港視察 12日(金) セミナー 13日(土) セミナー 14日(日) 移動:ハノイ→ダナン、ダナン港視察 移動:ダナン→フエ、国道1号線視察 15日(月) 移動:フエ→ホーチミン、セミナー準備 16日(火) セミナー、日本総領事館報告 17日(水) メコンデルタの運輸事情視察、講師帰国 18日(木) 移動:ホーチミン→ハノイ、大使館報告 19日(金) 移動:ハノイ→成田 [4] 報告書の作成 [1] 部 数 和文 137頁 100部、英文 160頁 100部 [2] 規 格 A4版 [3] 配布先 会員、運輸省、外務省、国内関係機関、ヴィエトナム政府運輸省、日本大使館、日本総領事館ほか
■事業の成果
[1] 運輸インフラ(物流システム)整備の人材養成への貢献
a.ヴィエトナムの運輸インフラ整備に関係するヴィエトナム政府及び国営企業の担当者が自国の運輸インフラ整備に参考となる知識・ノウハウを共有することが出来、効果的な人材養成の一助となった。
b.運輸インフラ整備に関する日本の経験や東アジア諸国の事例の紹介はヴィエトナム側の関心の高いテーマであったので、好評であった。
c.運輸インフラ全般について取り上げたので、各モードの整備の必要性と重要性を理解させることが出来た。
[2] 人的ネットワークの構築
a.ヴィエトナム運輸省をはじめ関係者多数が参加し、日本人関係者も参加したので両国間の人的ネットワークが形成され、今後情報交換の枠組が構築できた。
b.当協会としては、ヴィエトナム運輸省のシンクタンクをめざしている運輸開発戦略研究所の協力でセミナーを開催したので今後ヴィエトナムの運輸分野の国際協力の推進のための枠組みが構築できた。
[3] 国際協力の推進
a.運輸次官等幹部を含む関係者多数が参加したことは、セミナーに対する期待の大きさを示すものでもあり、今回のセミナーは有意義であり、ヴィエトナム側から引きつづきこのようなセミナー開催の強い要望があった。
b.ヴィエトナム政府は東アジア諸国のレベルに達することを当面の目標としているが、地形的にも歴史的にも日本と類似しているヴィエトナムにとっては日本の戦後の復興と高度成長が手本であり、かつ日本を目標と位置づけており、東アジアの先進国として国際協力の推進の責務が実感された。
c.ヴィエトナムの運輸インフラ(物流システム)整備が同国の今後の経済発展及び国民生活の向上のために重要であること、しかし現状ではハード・ソフト両面にわたり運輸インフラが未整備であることをヴィエトナム側関係者はよく理解するとともにそのための日本の協力の推進の必要性が日本の専門家及び関係者に強く認識された。
d.上記のようにヴィエトナム側の期待の大きさとともにヴィエトナム人のまじめな国民性が実感でき、今後の日本の協力が極めて有効であることを確認できた。
[4] 国際理解と国際交流の促進
a.多数の日本人専門家がヴィエトナムを初めて訪問し、現地事情を見聞するとともに、多数のヴィエトナム人と親しく交流することが出来たことは、相互理解の増進に効果的であった。
b.大学から参加した日本人講師のヴィエトナム訪問は、今後講義等を通じて学生等にヴィエトナムの実情を紹介し、ヴィエトナムへの理解を深め、かつ交流を促進することが期待される。
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