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できれば同じ年代の人がいいわけで、そうすれば興味対象もほぼ同じだし、趣味も分かち合えるというものです。例えば、コンサートに行くとか、スポーツ観戦とか一緒にできるでしょう。自宅に招待してコーヒーを飲みながらおしゃべりをすることでもいいですし、一緒に買い物に行ってどんな服装がいいか、相談にのってあげるのでもかまいません。家族ぐるみで付き合うコンタクトファミリーも可能です。

コミューン(市町村)が責任をもって募集し、推薦あるいは斡旋しますが、その際、マッチング(お互いに会って話し合い、友達になるか決める)ということがあります。

コンタクトパーソンはできるだけ趣味を同じくしていることをみてもわかるように、基本的には同年代の友人をつくることを目的としています。(廣瀬貴一)

 

グッドマン(godman)と
フォールバルタレ(
förvaltare

 

スウェーデンでは18歳になると、大人=成人としての諸権利が生まれます。

前章でふれた通り、LSSに基づく施策は、障害をもつ人自らが要望したときのみ実行に移されます。ですから、大人になっても自分にどんな援助が必要なのか言葉で表現できない人は、第三者がこれを代弁することが必要になります。当然その場合には、本人を最大限尊重し、その要望に対して十分耳を傾けなければなりません。このように、障害をもつ人個人の自己決定と人格の尊厳を重んじるのがLSSの基本的理念ですが、とくにパーソナルアシスタントは最大限援助を受ける人の意向が反映されなければなりません。また、個人に提供される支援やサービスに不満があって、関係機関または裁判所に訴えるときも同じです。

LSS15条には、グッドマンやフォールバルタレが必要になった時、あるいは不必要になった時、市町村の義務として、地方裁判所の人権擁護監視機関に届け出ることが明示されています。

 

知的障害をもつ人の権利を擁護したり、私有財産を守ったり、とくに配慮が必要な場合、地方裁判所はグッドマン(godman後見人)を指名することができます。グッドマンには、障害をもつ人本人の同意を得ずに物事を決定してはならない、という前提があります。例えば彼に代わってグループホームへの入居を要望する、PTによる治療の回数を増やして欲しいと要求するといったことから、日常は年金などの収入をどのように使うか相談にのるといった役割をしています。

グッドマンは、経験が豊富で適切な助言ができる人でなければなりませんが、特別な研修は必要ありません。ただ、このような役割を果たすためには、本人やその人をとりまく状況、法や制度、知的障害者福祉施策の実際についてよく知っておく必要があることは言うまでもありません。多くの場合、障害をもつ人の身内の人がグッドマンになっています。身内であれば本人に対して熱心に対応しますし、望みや要求をよく知っている、という利点があります。しかし一方では、身内や親戚であるが故に本人との間に相続問題など利害の対立がでてくる可能性もあります。日常の援助の多くの場面では援助職員が関わっていますから、グッドマンは援助職員と協力することも大切になってきます。しかし、やはり肉親の人たちは彼らの身内にとって何が最善か、職員と異なった意見を持っていることも多いのです。また、グッドマンに兄弟姉妹が多いのは同年代であると都合がいい点がいろいろあるからです。

 

似たような制度で、フォールバルタレ(förvaltare代理人)があります。知的障害をもつ人が、土地、家屋、まとまった遺産などの財産があり、それを管理ができない場合などは、地方裁判所はグッドマンではなく、このフォールバルタレを任命することになります。グッドマンで十分なときは、裁判所はフォールバルタレを任命することはできません。それは後者の方が前者よりも強い権限があるからです。

 

 

 






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