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コンタクトパーソンはこのような傾向を緩和するために考えられたものだともいえるでしょう。

コンタクトパーソンの役割は職業(仕事)としての支援ではありません。人間同士のつきあいに強い興味と関心をもっている人が適しているとされています。ですから、特別職業としての資格や能力は問うことはありません。

コンタクトパーソンの最重要課題は、ハンディキャップをもつ人と一緒に過ごしたり、余暇活動を援助することを通してこの人たちが社会で孤立しないよう、孤独にならないようにすることなのです。(LSSには市町村の義務として、障害をもった人たちが地域にある一般の余暇活動や文化活動に参加できるよう、その地域の資源が利用できるように働きかけることがうたってありますが、この仲立ちをするのもコンタクトパーソンです)。

コンタクトパーソンのもう一つの役割は、法律の専門家が扱うような込み入った問題ではない日常のちょっとしたことをいろいろな場面で助言したり代弁したりしてあげることです。したがって、なんら法的な責任をもつとか報告書を提出するとかの義務はありません。

コンタクトパーソンをもつことは、LSSの施策のなかにあげられていて、市町村は責任をもってこの制度を地域に知らせ、活動を盛んにするようにしなければなりません。

若者たちは障害のあるなしに関わらず、他の若者たちと一緒に交際し、語り、いろいろな活動に参加したいと思っているはずです。知的障害者は知的障害者同士、知的障害をもった人たちのサークルの中で、という発想から脱却するために施設を廃止したのです。

 

ストックホルムのコンタクトパーソン募集キャンペーンのポスター、パンフレットから引用してみましょう。

Q. どんな人がコンタクトパーソンになれるのですか。

A. 特別な教育や研修はいりません。大切なのは人間に対する関心と興味です。もしよかったら、他のコンタクトパーソンと一緒に学習サークルに参加して下さい。

 

Q. どんなことをするのですか?

A. 知的障害をもっている人の友達になって定期的にコンタクトをもってほしいのです。どんな風に会ってどのように過ごすかは二人で相談して決めて下さい。一緒に散歩するのもいいし、お喋りするのも映画を見にいくのもいいでしょう。そんな風にして、知的障害をもつ人たちの日常生活に変化を与え、ひとりぼっちになるのを防ぐのです。経済的あるいは法的に責任がないことがグッドマンと異なる点です。自分自身のやり方で、いろいろな折に助言してあげてください。そして知的障害をもつ人が自ら行動できるように、自分の感じ方ができるように元気づけてあげて下さい。要は、コンタクトパーソンであるあなたと知的障害をもつ人が、お互いに楽しければいいのです。

 

Q. 報酬はあるのですか。

A. ちょっとしたお礼と必要経費を差し上げます。

 

Q. 何か起こった時援助してもらえるのですか?

A. 時には問題をかかえることも出てくるでしょう。その時は知的障害をもつ人と一緒に、いつでも地域の福祉事務所に来て下さい。もう一つの方法はコンタクトパーソンの集いに参加されることです、ビデオをみたり、いろいろなテーマで話したり、コンタクトパーソン同士が会ったり、経験交流をするのも楽しみです。

 

Q. どこに申し込んだらよいのですか。

A. ストックホルムの知的障害援護は6つの地域に分けられています。それぞれに、コンタクトパーソンの募集の担当者がいます。そこでコンタクトパーソンがどのようなものか、詳しく聞いて下さい。

 

障害をもっている人たちはとかく孤立しがちで、どうしても同じような障害をもっている仲間とか援助職員とか、家族・親族とかにその交際範囲が限られてしまいます。そこで、この人たちにコンタクトパーソンが必要になってきます。

 

 

 






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